Microsoft 365×Salesforceのデータから、営業の「行動」を知る
──白岩さんのこれまでのキャリアと現在のお役割を教えてください。
大手SIerで9年間営業を経験し、2011年に営業課長職としてソフトクリエイトへ入社しました。現在は営業本部長として、メンバーが働きやすい環境づくりとコンサルティング営業の追求をミッションとしています。
とくにコンサルティング営業については、お付き合いのある3,000社のお客様に対してモノではなく価値を提供する「営業の高度化」を目指しています。お客様自身が見る目を養い購買活動を行う時代、サービス資料を持参して「買いませんか?」と言うだけの営業は淘汰されてしまうでしょう。そうではなく、業界とシステムへの深い知識を基に、お客様の課題解決に向けて的確な提案を行う営業スタイルへのシフトを目指しています。
──営業を高度化する取り組みの一環として、2022年12月から「Havid」というプロジェクトを始動されたそうですね。プロジェクトの概要と背景を教えていただけますか?
Microsoft 365の行動データとSalesforceの成果データを掛け合わせ、活動と成果の関係を分析するプロジェクトが「Havid」です。同プロジェクトを始動したのは、コロナ禍によるテレワーク導入がいちばんのきっかけでした。当時は対面コミュニケーションが減り、売上進捗の良し悪しでしかメンバーの状況を判断できなくなったのです。
これでは、遅くまで残業して成果を出したのか、それとも非常に効率良く動いたのかといった「行動」が見えてきません。成果だけでなく、行動の内容も数字で把握できるようにしたいと考えました。
ほかにも同プロジェクトには、生産性向上によるピュアセールスタイムの増加を期待しました。日本能率協会コンサルティングの調査結果によると、営業が1日のうち顧客と相対する時間はグローバルで41%、日本では25~31%程度に留まっています。グローバルに比べて、日本の営業は業務時間の多くを業務整理や社内ミーティングに費やしているんですね。
加えてコンサルティング営業は深い知識と経験が必要ですから、すぐには人数を増やせません。ひとり当たりの生産性向上が喫緊の課題となるなか、阻害要因を可視化して改善することで、お客様と向き合う時間を増やしたいと考えました。
また、もうひとつ期待した効果が、営業スキルの標準化です。「2:6:2の法則」を耳にしたことはないでしょうか。下の「2」はしばしば「働かない社員」と表現されますが、働かないのではなくて「うまく働けない社員」なのだとしたらどうでしょう。できる営業の習慣を可視化・標準化してマネジメントに活かしたり、働く環境を変えたりすることでその層をサポートし、営業組織全体を良くできないかと考えたのです。
新たなツールを導入するのではなく、以前から利用していたSalesforceとMicrosoft 365のデータを活用してプロジェクトがスタートしました。