データ提供でビジネスを支援する基本姿勢は変わらず
――まずは佐伯さんのご経歴と、現職で取り組まれている事業についてお聞かせください。
ITのキャリアは広告代理店のオプトからスタートしました。そこでインターネット広告の営業を学んだのち、SEMやSEOを支援する子会社の立ち上げに携わりました。その後、セキュアなデータベースを提供するパイプドビッツという会社や、ウェブパトロールを行うイー・ガーディアンという会社を経て、2018年1月にインティメート・マージャーへ参画しました。
インティメート・マージャーは現在創業6年目ですが、最初の5年はアドテクの領域で活動してきました。おかげさまでこの4年ほどパブリックDMP市場でシェア1位を占めることができ、ある程度認知度も上がってきました。弊社が持っているデータは、国内最大規模です。4.7億以上のオーディエンスデータとこれをもとにした類推データを、広告媒体をお持ちのメディアや広告主・代理店などに提供し、広告に活かすなどマーケティングの精度を上げていただくための支援を行っています。
私自身が営業出身ということもあり、データを使って営業活動の効率を上げたいという想いから、2018年夏にSales Techの新規事業を立ち上げることにしました。ちょうどABMやインサイドセールスという言葉が流行り始めていたころだったので、テクノロジーが受け入れられやすいタイミングだったことも立ち上げたきっかけのひとつです。
――パブリックDMP最大手の御社がSales Techの領域へ。進出の決め手は何だったのでしょうか?
第一の決め手は、会社全体のグロースです。DMP市場のシェアを40%占めている弊社が、この割合を60%や70%に増やすことは現実的に考えて難しいですし、仮に60%にできたとしても、売上は1.5倍で止まってしまいます。中長期的な成長を考えたとき、同じアドテク市場で戦い続けながらも、違う領域に進出していく戦略が良いと考えました。
第二の決め手は、Sales Tech領域の成熟です。そもそもインティメート・マージャーは「データをより多くの方に活用していただき、良い結果を出していただく手助けをしたい」という想いから立ち上げられた会社です。創業当時、アドテク領域には広告のインプレッションやクリックというデータが溢れていて効果測定をしやすい土壌が整っていたので、データを集めDMP企業として参入する道を選びました。
Sales Techに目をつけた理由も似ています。ABMやインサイドセールスを活用し、企業のニーズを捉えたうえで丁寧に営業活動を行うことが、結果的に良い成果につながり、効率的でもあるという流れになってきています。これまでは広告の領域でデータが活用されていましたが、広告を出したあとに行動しなければならないのは営業です。その領域までデータが落とし込まれていく時代になってきたと感じ、Sales Techへの進出を決めました。