リンナイが営業DXに取り組む背景
リンナイは「Creating a healthier way of living」(快適な暮らし方を創造しよう)をブランドプロミスに掲げ、ガスコンロや給湯器などの住設機器を販売する企業だ。従業員は約3,600名、その中でも国内営業部には約1,200名の従業員がおり、事業部は全国90ヵ所に広がっている。そんなリンナイの営業本部 販売管理部 DX推進グループ 主事 加賀将之氏が、「レガシー企業が目指す営業活動のDX」と題してセッションを行った。
リンナイのビジネスは、BtoBtoBtoCと言える。ガス事業者やキッチンメーカーに製品を販売し、その企業から工事を請け負う販売店に製品が渡り、エンドユーザーの自宅に設置される。消費者に製品が届くまでにさまざまな法人が関わっている点が特徴だ。
そんな中、リンナイがDXを推進する背景について加賀氏は「登場人物の多さ」を挙げた。ひとつの営業所に、営業担当、バックオフィスの業務担当、決裁者のほか、設置施工といった技術のサポートをする社員が在籍している。それぞれが得意先の担当者とコミュニケーションをとるが、「誰が誰にどんなコミュニケーションを行ったかがその社員の頭の中にしかない」という課題があったという。
「営業パーソンはみな真面目で熱心なので、メモなどの工夫でお客様をしっかりフォローしてくれている。そのうえで、デジタルを活用してお客様にとってより良いコミュニケーションを目指せるのではないかと考えました」(加賀氏)
得意先とのコミュニケーションを円滑にするためのデジタル活用は、2021年1月からスタートしている。「Rinnai BiZ」というビジネスパートナー向け会員サイトで、業務支援の機能を提供しているのだ。たとえば“エラーコードが出ているが、修理金額はいくらか”“製品の在庫が今どれぐらいあるか”といった情報は、このサイトを通してパートナー企業が確認できる。
そのうえで、データの蓄積を開始した。各営業の頭の中にあった顧客情報をデータ化するほか、「どの製品動画がよく再生されているか」といったデジタルで計測できる定量データを社内で共有することで、より良いコミュニケーションを目指すためだ。その手段としてリンナイではセールスエンゲージメントサービス「UPWARD」を導入した。
データ蓄積において現場の営業が感じる3つのメリット
営業のデジタル化を進める際、現場の営業パーソンが「頭の中で管理できているからデータを登録してもあまりメリットがない」と感じるケースは多いだろう。実際、リンナイの社内からも「デジタル化よりも、泥臭く通って顔を覚えてもらうことが大事」など、ツール導入の効果を疑問視する声が出ていたという。そうした懸念に対し、加賀氏はUPWARD導入の決め手を3つ紹介した。
まず「位置情報から登録をサポート」してくれる点。リンナイの営業パーソンは車で何時間も移動するため、合間にどの顧客と何の話をしたかといった活動状況を登録すること自体負担になってしまう可能性があった。その点UPWARDは営業パーソンの行動を自動で検知し、データを蓄積、営業パーソンのデータ登録の手間を軽減することができる。
また、「登録してもメリットがないのでは?」という営業パーソンの懸念に対しては「活動結果集計の自動化」と「ハイパフォーマー分析ボトムアップ」が大きなメリットになるという。ダッシュボードで営業活動の成果を自動で集計できるため、報告や会議の資料をつくる作業から解放され、本来の営業活動に集中できることを目指す。
「ハイパフォーマー分析ボトムアップ」とは、優秀な営業パーソンのノウハウがデータとして可視化されることで、組織全体の底上げにつながるということ。新規顧客と既存顧客を訪問する頻度などの営業活動のバランスが見えることで、ベストプラクティスを共有しやすくなるわけだ。
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タイムテーブル
- 新しい社会で目指す顧客との関係構築の在り方/株式会社セールスフォース・ジャパン 取締役副社長 古森茂幹氏
- ルートセールスの営業DX、いま注目すべき「セールスエンゲージメント」/UPWARD株式会社 執行役員 COO ビジネスグループ統括本部長 石田正樹氏
- レガシー企業が目指す営業活動のDX/リンナイ株式会社 営業本部 販売管理部 DX推進グループ 主事 加賀将之氏
・オンデマンド配信視聴期間
2022年12月8日(木)12:00~2023年1月13日(金)13:00