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SalesZine Day(セールスジン・デイ)とは、テクノロジーで営業組織を支援するウェブマガジン「SalesZine」が主催するイベントです。 丸1日を通してSales Techのトレンドや最新事例を効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

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企業の競争力を高める「営業DX」とは? 日本の営業組織の未来を探る powered by SalesZine

2024年4月18日(木)14:00~15:30

常に高い売上目標を達成し続けなければいけない営業組織。先行きの見通しが立たない時代においても成果を挙げるためには、過去の経験にとらわれず、柔軟に顧客や時代に合わせて変化し続けなければなりません。変化に必要なのは、継続的な学びであり、新たなテクノロジーや新たな営業の仕組みは営業組織の変化を助け、支えてくれるものであるはずです。SalesZine編集部が企画する講座を集めた「SalesZine Academy(セールスジン アカデミー)」は、新しい営業組織をつくり、けん引する人材を育てるお手伝いをします。

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リンナイが営業DXに挑むワケとは?セールスエンゲージメントサービスを活用し営業活動の主語を「顧客」に

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 2022年11月9日にUPWARD主催でオンライン開催された「ルートセールスDXフォーラム」。本フォーラムでは顧客との新しい関係構築の鍵「セールスエンゲージメント」に焦点を当て、営業DXの実践や最新トレンドについてリンナイ、セールスフォース・ジャパンがセッションを行った。本稿では、UPWARDのソリューションを活用し、営業DXに取り組むリンナイによるセッションと、リンナイ×UPWARDのトークセッションの様子をお届けする。

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リンナイが営業DXに取り組む背景

 リンナイは「Creating a healthier way of living」(快適な暮らし方を創造しよう)をブランドプロミスに掲げ、ガスコンロや給湯器などの住設機器を販売する企業だ。従業員は約3,600名、その中でも国内営業部には約1,200名の従業員がおり、事業部は全国90ヵ所に広がっている。そんなリンナイの営業本部 販売管理部 DX推進グループ 主事 加賀将之氏が、「レガシー企業が目指す営業活動のDX」と題してセッションを行った。

 リンナイのビジネスは、BtoBtoBtoCと言える。ガス事業者やキッチンメーカーに製品を販売し、その企業から工事を請け負う販売店に製品が渡り、エンドユーザーの自宅に設置される。消費者に製品が届くまでにさまざまな法人が関わっている点が特徴だ。

BtoBtoBtoCのイメージ

 そんな中、リンナイがDXを推進する背景について加賀氏は「登場人物の多さ」を挙げた。ひとつの営業所に、営業担当、バックオフィスの業務担当、決裁者のほか、設置施工といった技術のサポートをする社員が在籍している。それぞれが得意先の担当者とコミュニケーションをとるが、「誰が誰にどんなコミュニケーションを行ったかがその社員の頭の中にしかない」という課題があったという。

「営業パーソンはみな真面目で熱心なので、メモなどの工夫でお客様をしっかりフォローしてくれている。そのうえで、デジタルを活用してお客様にとってより良いコミュニケーションを目指せるのではないかと考えました」(加賀氏)

 得意先とのコミュニケーションを円滑にするためのデジタル活用は、2021年1月からスタートしている。「Rinnai BiZ」というビジネスパートナー向け会員サイトで、業務支援の機能を提供しているのだ。たとえば“エラーコードが出ているが、修理金額はいくらか”“製品の在庫が今どれぐらいあるか”といった情報は、このサイトを通してパートナー企業が確認できる。

 そのうえで、データの蓄積を開始した。各営業の頭の中にあった顧客情報をデータ化するほか、「どの製品動画がよく再生されているか」といったデジタルで計測できる定量データを社内で共有することで、より良いコミュニケーションを目指すためだ。その手段としてリンナイではセールスエンゲージメントサービス「UPWARD」を導入した。

リンナイ株式会社 営業本部 販売管理部 DX推進グループ 主事 加賀 将之氏

データ蓄積において現場の営業が感じる3つのメリット

 営業のデジタル化を進める際、現場の営業パーソンが「頭の中で管理できているからデータを登録してもあまりメリットがない」と感じるケースは多いだろう。実際、リンナイの社内からも「デジタル化よりも、泥臭く通って顔を覚えてもらうことが大事」など、ツール導入の効果を疑問視する声が出ていたという。そうした懸念に対し、加賀氏はUPWARD導入の決め手を3つ紹介した。

 まず「位置情報から登録をサポート」してくれる点。リンナイの営業パーソンは車で何時間も移動するため、合間にどの顧客と何の話をしたかといった活動状況を登録すること自体負担になってしまう可能性があった。その点UPWARDは営業パーソンの行動を自動で検知し、データを蓄積、営業パーソンのデータ登録の手間を軽減することができる。

 また、「登録してもメリットがないのでは?」という営業パーソンの懸念に対しては「活動結果集計の自動化」と「ハイパフォーマー分析ボトムアップ」が大きなメリットになるという。ダッシュボードで営業活動の成果を自動で集計できるため、報告や会議の資料をつくる作業から解放され、本来の営業活動に集中できることを目指す。

「ハイパフォーマー分析ボトムアップ」とは、優秀な営業パーソンのノウハウがデータとして可視化されることで、組織全体の底上げにつながるということ。新規顧客と既存顧客を訪問する頻度などの営業活動のバランスが見えることで、ベストプラクティスを共有しやすくなるわけだ。

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2022年11月に開催されたルートセールスDXフォーラムが、好評につきオンデマンド配信中。視聴・詳細は「ルートセールスDXフォーラム」から。

タイムテーブル
  1. 新しい社会で目指す顧客との関係構築の在り方/株式会社セールスフォース・ジャパン 取締役副社長 古森茂幹氏
  2. ルートセールスの営業DX、いま注目すべき「セールスエンゲージメント」/UPWARD株式会社 執行役員 COO ビジネスグループ統括本部長 石田正樹氏
  3. レガシー企業が目指す営業活動のDX/リンナイ株式会社 営業本部 販売管理部 DX推進グループ 主事 加賀将之氏
・オンデマンド配信視聴期間

2022年12月8日(木)12:00~2023年1月13日(金)13:00

データをもとに次の行動を考えられる組織へ

 営業改革の推進にあたって、リンナイが大事にしていきたい姿勢は「お客様のためのデータ化」だ。加賀氏は「『昨日カタログを送っておきました』といった情報の後出しはもうやめたい」と強調する。そのために、取引先企業を主語にして、どの担当者がどんな対応をしたのかがわかるよう、情報をできるだけデータ化することを目指している。

 こうした適切な顧客とのコミュニケーションのためのデータと、「Rinnai BiZ」などすでに持っているデジタル上の接点データをかけ合わせるというのが、現在のリンナイの営業DXの取り組みのひとつだ。

 ふたつのデータを掛け合わせることで、活動状況の自動集計やハイパフォーマー分析、さらにはウェブ上の行動データの活用につながっていく。たとえば、ある顧客がデジタル上でカタログをよく見ていることがわかり、直近3ヵ月の訪問履歴がなかったなら、すぐに営業訪問をしたほうが顧客にとって嬉しい営業活動になるだろう。

 加賀氏は「このようにデータをもとにして、組織として次の行動を考えられるようになることが、営業改革で目指す姿」だと説明した。

DXと文化定着のために担当者が心がけるべき3つのこと

 ツールを導入しデータの蓄積を開始したことで、営業DXの一歩を踏み出したリンナイだが、加賀氏によると「文化や慣習をどう変えていくかが大きな課題」だという。直面している課題についてもリアルな状況をシェアした。

 これまでの営業管理は、営業パーソンが何件訪問をしたかという工数の管理が基本で、主語はリンナイだった。これからは顧客を主語に、顧客に対してどうコミュニケーションをとったのかという考え方に変えていかなければいけない。

 また、リアルタイムかつ部門やエリアを越えた情報共有も、営業改革において力を入れたいポイントだ。従来は営業活動の振り返りを1ヵ月ごとに行っていたが、今後は「今この瞬間」の状況を注視する文化が必要である。さらに、データを蓄積するだけではなく開示して、全社で共有・評価する文化に変えていく。

「今まさに文化を定着させるために、一生懸命取り組みを行っている」と語る加賀氏が、DX推進担当者として心がけている3つのポイントがある。

 ひとつは、熱意をもって説明することだ。「新しいデジタルツールを入れました」ではなく、「なぜこのツールを入れたいか」を説明して使うメンバーに共感してもらうことが肝要だ。「そうでなければ、使ってくれたとしてもその後の活用に差が出る」という。

 もうひとつは、人を頼ること。加賀氏は、DXが進んでいないエリアのメンバーに支援を求めたり、良い取り組みをしているエリアがあれば全国で紹介させてほしいとお願いするなど、人を頼りながら推進の輪を広げているという。

 3つめは、社員からの疑問や要望に誠実に対応すること。社員からツールに関して「こういうことはできませんか」と要望をもらったときに、すべてを叶えるのは難しくても、できない理由や今後の対応を説明するのが重要だ。ツールでできることの範囲について「UPWARDさんはそのあたりを丁寧に対応してくださるので、使う側が変化を感じることができました」と加賀氏。これらの3つを営業DX推進に必要な考え方だとした。

長期的にリンナイが目指す3つの目標

 文化の変革という目の前の課題に向き合いつつ、長期的にリンナイが目指すのは次の3つの目標だ。

 ひとつめは、データ起点の戦略立案(勘やコツからの脱却)。優れた営業パーソンは自分でたくさんの知見を持っていて、感性で決めたことによって成功することが多い。「なぜそうなったのか」をきちんとデータで示し、ゆくゆくは戦略に落とし込みたいという。

 ふたつめは、営業活動で得られた情報を他部門に連携すること。蓄積したデータを製造や開発、品質保証の部門にも連携し、新しい改善をすることで顧客に還元することを目指す。

 3つめは、営業外の情報(社内資料共有・品質情報)の一元化だ。「データ共有の文化が定着するとさまざまなものを共有したくなってくるはず」と加賀氏。社内資料や品質情報などの重要な情報も、ひとつのプラットフォームで管理できるようにしていきたいという。

「そうすると、どんどん仕事がやりやすくなって、本当の意味でのデジタルトランスフォーメーションにつながっていくのではないでしょうか」(加賀氏)

 最後に、UPWARDに期待することとして「文化や慣習を変革するための支援」を挙げた加賀氏。「文化や慣習の変革は、推進者の熱量によるところが大きく、熱量を拡大するための共感者・賛同者が必要。すでに社内SNSのような機能でお互い鼓舞しあうことはできますが、よりユーザーが便益をイメージしやすい機能が増えることを期待します」と語った。

「DX」のキーワードにこだわり過ぎず、泥臭く

 最後に、加賀氏とUPWARDのCOO 石田正樹氏がトークセッションを行った。

 最初のトークテーマは「セールスエンゲージメントおよび、ソリューションに注目したわけ」。加賀氏いわく「もともとリンナイはお客様との関係性や、データを重要視していた」ため、顧客に合わせた営業活動を営業パーソンが実現できるように支援する「セールスエンゲージメント」の考え方や、ソリューションの必要性は感じていたという。

左:UPWARD株式会社 COO 石田正樹氏/右:加賀氏

 そのためツールを導入することに関しては「社内から反対意見はまったくなかった」と加賀氏。蓄積したデータを活用して、より顧客に役立つ営業活動ができるように戦略を立てていくことを楽しみだと語った。

 続いて「営業DXにおいてもっとも苦労したこと」というテーマが出されると、加賀氏は「今も苦労している最中」としながら「新しいツールの導入や業務改革は、従来のやり方の否定にも捉えられる。今までのやり方を否定するわけではない、という意図を伝える社内コミュニケーションを行うこと」を挙げた。そのために、セッションにもあった「熱意をもって話す」ことに苦心しているという。

 石田氏が「そもそものDXの定義でつまずく企業も多いが、そこでの苦労は」とたずねると、「経営層の理解があって、社内で新しいことを進めていくことに抵抗感がなかったため、恵まれていた」と加賀氏。また、DXという言葉の定義については、「私の取り組みは『DXでなく業務改革』だと言われることが多い」と明かし「しかし、業務改革をしたことで行動や文化が変わるなら、もうそれはトランスフォーメーションではないか」と提起した。

「熱意をもって必要性を説明すると、最初は抵抗感があったであろうデジタルリテラシーの高くない年齢層の社員からも『こういった取り組みが必要だと思っていた』と言ってもらえて。キーワードにはこだわりすぎず、今何をやるべきかを考えることが重要ではないでしょうか」(加賀氏)

 3つめのテーマは「現場にどのように定着させるか」。加賀氏は「書面で終わらせずに自分の言葉で伝える」ようにしていると実践例を語った。「各エリアの責任者が集まる会議で時間をもらったり、全営業メンバー向けにウェブ説明会を開いたりしている」という。個別の質問にもその都度対応しているという加賀氏に、石田氏は「全体で戦略的に変革しつつも、現場レベルで泥臭くやり続けるところがポイントですね」と評価した。

 最後のテーマは「営業DXで見据える今後のビジョン」。加賀氏は「DXと横文字がつくとDX担当者がやる特別な仕事と思われがちだが、新しい技術を使って会社を良い方向に変革していくのは誰がやってもいいはず。当社はもともと改善の文化が強い製造業なので、『デジタルを使って業務を変えていくのは当たり前』と言ってもらえるのがいちばんの理想だと考えています」とビジョンを語った。

活動登録数が増加!社内からの改善希望も活性化

 トークセッション後半では、視聴者からの質問にも回答。UPWARD導入後の効果についての質問に加賀氏は、「本格的に全国に導入してから日が浅く、明確なROIはこれから見えてくるところ」としながら、自身が感じているふたつの変化を紹介した。

 ひとつは、登録される営業活動の件数が増えたこと。「UPWARDの導入によって従来の入力の手間が軽減されているおかげでは」と効果を実感していることを明かした。

 もうひとつは、社内から「こういう改善をしたい」という声が挙がってくるようになったこと。「社内でも会ったことがない人からチャットが来て『加賀さんこういうことできますか』と聞かれるんです」と加賀氏。デジタルの新しいツールを入れて、会社を変えていきましょうという発信を続けてきた結果、起こったトランスフォーメーションではないかと分析した。

 続いて「デジタルに対して抵抗感を持っている顧客が多い場合、営業現場にはどのようにDXの推進を納得してもらいましたか」という質問。

 これに対して加賀氏は、自社での実践の結果をもとに持論を語った。

「デジタルが苦手な方が多い地域や業種はあると思います。しかし、UPWARDの活用で言えば、位置情報で活動記録される機能に対しては、都市部よりも移動距離の長い地方のほうが、ポジティブだったんです。なのでデジタル慣れしているかどうかより、意思や共感が大事だと考えて、泥臭く伝え続けていますね」(加賀氏)

 最後に、加賀氏と石田氏の両者が、営業DXに取り組むビジネスパーソンに向けてメッセージを贈った。

「新しいことを始めるときは孤独で、うまくいくか心配になると思います。パートナー企業の方にもそういったリアルを伝えて、他社の事例に背中を押してもらうことが大事です。私の場合、パートナー企業以外でもDXの取り組みを推進している方に話を聞かせてもらうこともしています。私が力になれるかわかりませんが、お悩みの方がいればぜひお気軽にお声掛けいただいて、一緒に営業DXを推進していきましょう」(加賀氏)

「当社としては、リンナイ様のUPWARDへの期待にぜひ応えたいと思っています。さらに、ビジネスで使うアプリケーションというと難しく聞こえますが、UPWARDが目指すのはゲームのようなUI/UXです。今のゲームは開封して説明書なしで数時間後に使いこなせる。UPWARDもそんなわかりやすいアプリケーションにしていきたいです。それから、プロダクトの外側で推進者のネットワークを構築する支援をしていきたい。本日加賀さんのお話を聞いて、切実さがより伝わってきたので、サポートできる体制をより強固にしていきたいですね」(石田氏)

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2022年11月に開催されたルートセールスDXフォーラムが、好評につきオンデマンド配信中。視聴・詳細は「ルートセールスDXフォーラム」から。

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  1. 新しい社会で目指す顧客との関係構築の在り方/株式会社セールスフォース・ジャパン 取締役副社長 古森茂幹氏
  2. ルートセールスの営業DX、いま注目すべき「セールスエンゲージメント」/UPWARD株式会社 執行役員 COO ビジネスグループ統括本部長 石田正樹氏
  3. レガシー企業が目指す営業活動のDX/リンナイ株式会社 営業本部 販売管理部 DX推進グループ 主事 加賀将之氏
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2022年12月8日(木)12:00~2023年1月13日(金)13:00

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