追加受注15%増 20%のオンボーディングを自動化
──導入前にあった課題は、Gainsight導入後にはどのように解決・改善できましたか。
北野 お客様の状況を一元で管理できるようになったことが最大の導入効果ですね。カスタマーサクセスマネジャーとリニューアルセールスが同じものを見て活動することができるようになり、組織としての一体感が醸成されました。
また、それまで煩雑なカスタマーサクセスの業務について「根性でタスクをこなす」側面も正直あったのですが、「テクノロジーを活用して効率的・効果的に行おう」と、IT投資に対するポジティブな意識変化も生まれています。
Gainsightの機能を活用し、一定の条件を満たす顧客に対してリニューアルセールスがアクションを起こす運用体制をつくったのですが、追加受注が年間15%向上するなど、契約範囲の拡大(アップセル)が生まれました。解約率も下がり続けており、導入前は0.8〜0.9%でしたが、現在は0.63%ほどまで下がりました。さまざまな施策を打っているため、すべてがGainsightの成果ではない部分もありますが、貢献が大きいことは間違いありません。
──現場での評価について、少しうかがえればと思います。活用したうえで感じるGainsightの最大の魅力を教えてください。
山元 個人的には「ルールエンジン」が好きですね。Gainsightの魅力の根幹ではないかと思っているのですが、「散らばっているデータを良いかたちにつなげられる」、言い換えれば「GUIベースで自由にSQLを書ける」と認識しています。どこにどんなデータが有るのかわかっていれば、さまざまなデータを収集・集計して分析し、ピンチやチャンスなどのアラートを出すことができる。ここまでノーコードでできるのは、素晴らしいです。
ルールエンジンを使うことによって、「便利になった」「効率化された」だけでなく、「売上に貢献する活動ができた」と実感できます。散らばったデータから、アクションするべきタイミングや根拠を示してあげられる。それによって契約範囲の拡大が得られるという経験をできたのは、本当にうれしかったですね。営業アシスタントのころには、得られなかった達成感で、Gainsightとの出会いが私のキャリアを変えたと言っても過言ではありません。
北野 私もカスタマーサクセスマネジャーとして初めてGainsightを使った際、散らばっているはずの担当企業の情報が1画面に集約されることに衝撃を覚えましたね。山元の達成感にも共感できます。
もうひとつ私が気に入っていたのが、CTA(アクション通知)が飛んだあとのタスク管理の機能です。担当企業が多い担当者は助かりますし、スムーズに情報連携ができるため、別の人が把握したり、連携したりする際にも便利です。また、プロダクトやカスタマーサクセスの人員が増加する中で、Gainsightを使うことで新人の業務の立ち上がりが早くなり、サービスの品質を保てるメリットもあります。
山元 使いやすさや自由度はGainsightがいちばんですよね。SalesforceやTableauとの連携も可能ですが、Gainsightのルールエンジンの自由さによって、ついGainsightでさまざまなことにチャレンジしてしまいます。
北野 Salesforceは顧客データのマスタであり「売る側の視点」で、Gainsightは顧客のリアルなデータで「顧客側の視点」で整理されたものと捉えられるかもしれません。
マネジメントの目線で言えば、ヘルススコアの分布で顧客企業の状況を俯瞰して感覚的に把握できるのが良いですね。優先的に対応すべき「イエロー」や「レッド」のヘルススコアの企業があるのか、誰が担当しているのかを把握しやすくなります。メンバーにも、直接とるべきアクションが提示されるため、そのうえで支援を行いやすくなりました。
また自動化も進んでいます。所定のオンボーディングステップの手前でお客様宛にメールが配信され、お客様側で実施していただくべきアクションがない際にCTAの通知が飛び、カスタマーサクセスマネジャーのアクションにつながるため、属人化しやすかったカスタマーサクセスの業務効率化にも貢献しています。人が介在しなくても約20%がオンボーディングに成功しており、その分カスタマーサクセスマネジャーの対応力を上げることができています。