重要な案件の前で「やらないことを決める」覚悟を
営業現場の課題に回答した前編「意外と忘れる『売上=単価×件数』の公式 事業創造セールスは『顧客視点』の単価向上を目指す」、営業マネージャーの課題に回答した中編「ツール導入前にまずは受注・失注分析を 営業組織全体のモチベーションを合わせる秘訣とは」も公開中! もちろん本編からでもお楽しみいただけます。
宮田(SalesZine編集部) 視聴者の方から寄せられたご質問にお答えいただければと思います。
野村さんの「売上=件数×単価」の公式を受け、「単価が高い案件にコミットすると、ほかの案件のリソースが回らなくなってしまうのではないか。配分のポイントを教えてください」と質問いただいています。「40件×500万円」の営業と「2件×1億円」の営業を組織内でどう役割として分けるのか、そのバランスを議論する必要がありそうですね。野村さんの経験を踏まえて教えていただけますか。
野村(RightTouch) まさに組織の中で役割を完全に分けたほうが良いと思いますね。新卒2~3年めのときに大型案件ひとつと、複数の案件を進めていたのですが、当時の上司から「ノムはこの2件だけをやれ」と大型の1件とかなり進んでいた1件だけに集中するよう調整されました。実際大型案件は提案工数もかなりかかったので、当時の自分のキャパで3~4件任せられていたら、すべて失注してしまったと思います。
この案件がうまくいかなければ目標達成は絶対に不可能という状況は個人としてはとても恐ろしかったですが、緊張感ある中で提案を進めたのは良い経験だったと思います。振り返ると、当時の上司には複数案件を担当・経験してほしいという気持ちもあったと思うのですが、あえて絞りにいく決断はすごいですよね。マネージャーになってから私もこの点を強く意識しています。組織として獲得しなければならない大きな案件は必ずあります。その際には「やらないことを決める」ほうが成果が出るんですね。
重要なのは「絞る」決断をしたマネージャーは現場のフォローにも回るべきで、本人が手を抜いてないのであればプロセスを評価し、守ってあげる必要もあるということ。これができていれば、仮に良い結果が生まれなかったとしても、次の案件では絶対成果が出ます。1回の失敗でマネージャーが手のひら返しをしてしまえば、営業担当の自信も上司への信頼もなくなるので、ここはマネージャーの覚悟ですね。
宮田 役割ごとにチームも変えるべきかつ、任せる仕事によってマネジメントの方法も変わる覚悟を持って、リソース配分をしていく必要があるということですね。