営業現場の課題に回答した前編「意外と忘れる『売上=単価×件数』の公式 事業創造セールスは『顧客視点』の単価向上を目指す」も公開中! 中編からでもお楽しみいただけます。
意外とできていない受注・失注分析にとりかかろう
宮田(SalesZine編集部) ここからはマネージャー視点で重要なポイントをうかがっていきます。高い売上目標は達成しながらも、そこで疲弊してしまわず、継続的な成長ができる強い組織をつくるためにはどんなアプローチが必要なのか。現在はSales Techの導入などを通じて「標準化」を進めることが求められる時代でもありますが、営業マネージャーは実際どのような課題を抱えているのでしょうか。
野村(RightTouch) 私がよく相談されるのは「ターゲット設定をどうすれば良いか」ですね。というのも、意外と自分たちのプロダクトやサービスがどこに売れたか、どの点が強いのかを言語化できておらず、ターゲットをざっくり定めている組織が多いんですね。
そこで、営業顧問をしている会社では受注分析、失注分析ができていないのであれば、まずはそこから取り組むようアドバイスします。掘り下げると、「この顧客には深く刺さっているが、このタイプの顧客だとコンペでボロ負けしてしまう」などが判明し、整理していくと自社の本当の強みを言語化できます。この分析に統計の知識などは不要です。
ジェイ(Rockets) 受注・失注分析は、「誰が、どの部署が、どうやってやるのか問題」がありますよね。でもまさに、野村さんのnoteを拝見するとスプレッドシートなどだけで実施されていて、いち営業でも自分の顧客リストや受注結果があればすぐに分析できることがわかります。もちろんツールがあったほうがさまざまなデータが揃うし、データも引き出しやすくて武器にはなります。活用しない手はないと思う一方で、ツールを導入すれば売上が上がるわけでもありません。何を導き出すかがポイントで、そもそもいまあるデータを活かしきれていない、もったいない状態の組織も多いのではないかと。
お聞きいただいている皆さん含めて、僕らは営業なので行動力が高いじゃないですか。だからこそ、「受注・失注分析は良さそう」と思ったらツール導入前にできる範囲で取り組んで成功体験を積み、成果につなげてみてください。そうすれば、経営層にも「これはプロジェクト化してツールも導入したほうが良いね」と理解されやすい。これは社内はもちろん、お客様側に導入支援を行うベンダーとしても大切にしているポイントですすね。
宮田 ツール導入・定着に悩む営業リーダーも多いと思うのですが、まずはいまあるデータの傾向をつかんで自分たちの強みを見つける。そうすることで、現場のメンバーをどこに配置するか、お客様に合わせて新しい事業をつくるべきか、リソース配分の種が見えてくるイメージですね。