半年間で顧客数2倍! データ活用効果を最大化する3種の神器
月次転送量や問い合わせなど、さまざまな項目から顧客のサービス活用状況をスコアリングし、その数値に大きな変化が見られた際には、個票を参照してさらにデータを深堀りする――どのようなデータを統合しようとしているのか、どれぐらいのデータ処理を動かしているのか、どのような頻度でログインしているのかなどをブレイクダウンしてチェックし、顧客の状況を把握している点も言及された。
高いスコアの顧客にはより活用してもらえるような資料を送付する、あまり活用が進んでいない顧客には無理強いをしないようにさりげなくユースケースを提案する、などの取り組み以外にも、「A機能を使っている方はB機能を使う傾向にある」といった類型化に基づいた提案や、顧客の声などの定性的な情報を提供するコンテンツ・広告に活かす取り組みが行われていることも紹介された。
田邊氏は、このスタイルにたどり着くまでには多くの苦労があったと振り返る。自社は「ようやくテクノロジーを活用しながら効率化を実現できたところ」と語り、今後は、エンゲージメントの高い顧客に対して自社施策へ招待するなど、より距離感を縮める施策も思索しているそうだ。
こうした一連の取り組みの結果、primeNumberは約半年で顧客が2倍に拡大したという。マーケティング主導で新規顧客獲得に注力しながらも、顧客との適切な距離や関係を保ち、解約率1%未満を維持できたことが勝因として語られた。これに対して、田邊氏は「プロダクトによるが、営業もマーケティング、カスタマーサクセスも全員が同じデータをチェックしつつ、顧客との適切なコミュニケーションが可能になったため」と分析している。
メルカリ、ホワイトプラス、SHIFTの活用事例
セッションの中では、primeNumberが営業活動を支援した3社の事例も共有された。
インセンティブを再設定したことで営業効率が大幅に向上し、営業の構造そのものが改善されたメルカリのほかにも、事業の稼働状況を統合・分析し、割引率の改善を通じてリピート率20%アップを達成し、LTVの最大化に貢献したホワイトプラスの事例も紹介された。また、システム開発会社のSHIFTにおいては、Salesforceをはじめとした業務システムから必要なデータを抽出・変換して「見える化」を強化し、データに基づく行動を従業員に促したという。
これらの企業で使用されている「trocco」などのサービスは、ローンチから3年弱で200社以上へ導入されるなど好調な売上推移を見せている。これも、primeNumber自身が自社サービスを用いてデータをフル活用する環境づくりを実現できたことが成功要因として語られた。
田邊氏は、「6つのプロセスにおいて、『統合=ETL』、『蓄積=DWH』、『可視化=BI』は、データを徹底活用するために必要な『三種の神器』と考えています。この神器こそが、データ活用のための業務工数を削減し、判断スピードを高めます。同社もデータの統合を中心に、周辺までトータルに含めたソリューションとして提供が可能であるため、ぜひ、気軽に声を掛けてください」と力強く語り、セッションを総括した。