事業を下支えするカスタマーサクセスの重要性
サブスクリプションビジネスでは、顧客はモノを「所有」する代わりにサービスを「利用」するようになりました。「所有」の時代は顧客にプロダクトを購入してもらうことがゴールでしたが、「利用」の時代は使い始めるタイミングから顧客との関係性が始まります。
これに伴い、第1回でも語られているとおり費用モデルの変革が引き起こされ、長期的に費用を回収して収益化をしていくこと、さらにアップセル(上位プランへの移行など)により収益を積み上げていく活動が重要になっています。そしてこの顧客との関係性構築を実現するために登場したのが「カスタマーサクセス」です。
たとえば以下に解約率(ChurnRate)毎の収益シミュレーションを準備しました。ここでいうマイナスの解約とはアップセルができている状態を表しています。
サブスクリプションビジネスでは定常的に利益が積み上がっていきますが、解約が発生している状況では事業の成長は鈍化してしまいます。しかし反対に、既存顧客からのアップセルを発生させられている状況では、大きな事業成長を見込むことができるのです。
加えて、下図は同じ金額を獲得するためにかかるコストを比較したグラフですが、新規顧客経由(一番左)より既存顧客経由(中央)の獲得コストが4.2倍も安いことが見てとれます。
従来の売り切り型ビジネスではプロダクトを販売した段階で利益が生まれ、その後のサポートはコストと考えられていました。一方でサブスクリプションビジネスでは、顧客が継続的に利用することで利益も増え続け、さらにロイヤルティが高い状態を維持することで上位プランへの移行(アップセル)を発生させることが可能です。
これらより、サブスクリプションビジネスにおいては、顧客と長期にわたる良好な関係を構築するための取り組みが重要となり、コストと捉えられていたポストセールス部分に対する見方が変化してくるのも頷けるでしょう。