多様なパートナーがコンテキストづくりを強化
──HubSpotの導入・活用支援を行うパートナーも年々増加しています。パートナー企業が加わることで、どのような価値が生まれるのでしょうか。
コンテキストをしっかり捉える基盤をどうつくるかを考えると、実はHubSpot1社だけでは難しい場面もあります。たとえば、不動産業と人材系では求めることも情報のありかもまったく違うでしょう。業界に特化した知見を持つパートナーがいなければ、コンテキストを理解し、活用するプラットフォームとしての真の価値が発揮できないこともあります。
ECサイトの購買情報やLINEでのやりとりなど、HubSpotの外にある接点情報の集約にもパートナーの力が不可欠です。

最近は、従来のマーケティング寄りのパートナーに加えて、セールスやサポート領域を支えるパートナーも増えています。基幹システム連携など開発を伴う案件も増え、SIerの力を持つパートナーも加わってきました。あらゆるセグメントの導入・活用を支える多様なパートナーが揃ってきています。
AI活用責任者の設置も 成果につなげる組織の条件
──盤石なCRM運用体制を用意した営業・マーケティング組織が取り組みたいと考えるのが、ずばりAI活用です。データを蓄積できている組織ではとくにAI活用がぐんと進んでいる印象です。
前述の営業に関する実態調査の結果を見ると、営業のAI利用率は1年前の28.9%から43%に上がり、利用する層の半数以上が週1回以上使っています。メール作成、案件サマリー、案件創出の可能性の示唆など幅広い業務で活用されています。「アウトプット」の質も量も向上している。ただ、次のチャレンジはそれを「アウトカム」、つまり成果にどうつなげるかです。

──AI活用を成果に結びつけられる組織には、どのような共通点がありますか。
まず、経営に近い方々がAIの取り組みをポジティブに捉えていること。当社のCEOであるヤミニ・ランガンも、毎週のように自分のAI利用の状況や事例を全社に展開しています。CEOが使っていると、社員も「自分たちも使おう」となる。文化づくりがキーです。
HubSpotではAIの活用推進をミッションとする、Director of AI Transformationという役職を置いています。声かけだけではなく、組織のどこにボトルネックがあるのかを特定し、実行していく人が必要です。

加えて、好奇心の高い組織をどうつくるか。当社は、メンバーが自身のAI活用方法を積極的にシェアしたり参照できるような仕組みを取り入れています。たとえば、先日実施したのは、「マイプロンプト選手権」です。業務で使っているプロンプトとその効果をピッチし合うような取り組みです。私自身も、営業メンバーの案件レビューや作戦会議の前に、Breeze(HubSpotに搭載されているAI)にお客様の状況を共有し、会話するようにしています。1年前と比べて日本語の精度が飛躍的に上がり、これなしでは仕事ができないくらいです。
当社のサポート組織では、AIを活用した問い合わせの解決率が日々向上し、いまでは問い合わせの半分以上はAIが解決しています。しかしながら最近は「ただAI解決率をあげることが本当に良いことなのか」という議論に入っていて、AIによる顧客満足度(CSAT)指標を設け、本当にお客様の成果支援につながっているかを検証しています。成果のためのKPIを試行錯誤し続けることが、アウトカムにつながると考えています。
