理想的な「買い手起点」への転換を阻む3つの壁
──バリューチェーンを「売り手起点」から「買い手起点」へうまく転換できない理由には、どのようなものがありますか。
大きく3つあります。ひとつは、KPIを量から質に変える恐怖です。
量のKPIは掛け算なんです。経験則からアポイント率や成約率を割り出せば、目標達成のためにどれくらいの量を積めば良いかがわかります。しかし質のKPIは予測が難しいため、転換するのは恐怖があります。
これを乗り越えるには、経営陣のコミットが必要ですね。売上が一時的に下がることを受け入れ、長期的なファンの獲得や、買い手の購買体験の向上を優先するといった企業姿勢が求められます。まずは小規模のチームで質を重視したKPIを取り入れ、一時的にどれだけ売上が下がるかシミュレーションすることから始めると良いでしょう。
ふたつめの壁が、部門間のデータの断絶です。マーケティングはMA、セールスはSFAと個別のシステムを導入していることで、購買プロセス全体のデータを一気通貫で可視化できなくなっています。3つめの壁である、すべての部門が共通のKPIを掲げられなくなる要因となります。
──システムが課題だと認識できても、それを刷新するのは大きな決断となりますね。
ええ。システムを変える前に、その前提となる業務プロセスを変えなくてはなりませんから。非常に骨の折れるプロジェクトになるでしょう。

「誰でも、すぐ使える」 生成AI×HubSpotがつなぐデータと組織
──2025年4月よりHubSpot社とのパートナー関係を強化されています。マーケティングとセールスを「買い手起点」のバリューチェーンへ転換するため、HubSpotにどのような可能性を見出したのですか?
「HubSpot」はマーケティングからセールスまで一気通貫でデータを可視化でき、先ほど挙げた3つの壁を解決するソリューションだと感じています。
また、生成AIの活用もポイントですね。HMSにはリプレイスのご相談が多く、その理由として「MA/SFAに入力するメリットを現場が感じられないから」という声が少なくありません。そこで、たとえば商談結果をもとに生成AIがネクストアクションを提示する仕組みをつくり、入力のメリットを提示できれば、システム活用は活性化していくでしょう。「HubSpot」は導入してすぐに、誰でも生成AI活用を使いこなせるように設計されているため、この課題を即座に解決できます。
こうしたシステムに関するメリットに加えて、HubSpot社が掲げる「Loop Marketing」にも共感しています。Express(ブランド定義)、Tailor(パーソナライズ化)、Amplify(チャネルのマルチ展開)、Evolve(最適化)という4つのステージを循環させ、質を高めながら買い手との関係を深めていく新たなフレームワークは、我々が掲げる「買い手起点」のバリューチェーンと非常によく似通っています。同じ方向を向いて企業を支援できると確信しています。

