「コミュニティリーダー」と創るWIN-WINの仕組み
──「仲間」と共に成長するという思想を、どのように具体的な施策に落とし込んでいるのでしょうか。
石原 当初は、熱心なお客様にウェビナーやイベントにご登壇いただく活動が中心でした。しかし、活動が活発になるにつれ、「過去にどなたが登壇したか」「どんな資料を使ったか」といった情報がバラバラになってしまったんです。履歴を残せる場所がなく、管理が煩雑になっていました。
田中 このままでは、せっかくご協力いただく「仲間」であるお客様に対して失礼になりかねません。そこで、単なるユーザーコミュニティの二番煎じではなく、しっかりストラクチャードされたプログラムとして設計し直そうと考えました。
──そこで仕組み化が必要になったわけですね。
石原 はい。活動履歴や関連資料、コミュニケーションを一元管理するためにPRMを導入してプログラムの基盤を整えました。そのうえで、コミュニティの中でも特に発信力があり、Zoomの価値を広めてくださる方を「コミュニティリーダー」としてお声がけしています。
──コミュニティリーダーは、どのように見つけるのですか。
石原 営業やカスタマーサクセスマネージャーが、日々お客様と接する中で「この方はZoomが本当に好きそうだ」と感じる候補者を見つけます。SNSでの発信が多い方や、情報感度が高くイベントに積極的に参加してくださる方が多いですね。
社内で議論を重ねた上で、正式にお声がけします。現在は約100名のコミュニティメンバーのうち、約10名がリーダーとして活動してくれています。
田中 そもそも取り組みのきっかけは、昨年のイベントでお会いしたZoom コミュニティチャンピオンであるデンソーの大川誠さんの存在が大きいです。彼はZoomの社員ではないのに、ボランティアとして英語で他ユーザーのサポート活動をされていたんです。その姿を見て、「これこそが新しいパートナーのかたちだ」と閃きを得ました。
──リーダーの方々とは、具体的にどのような活動を行うのでしょう。
石原 リーダーの中には「ビギナー」から「マスター」まで4段階のランクを設けています。「マスター」レベルになると、「一緒に売ろうよ」というマインドを共有してくださる、まさに「仲間」です。
ユーザー会のコンテンツを一緒に企画したり、モデレーターを務めていただいたりするだけでなく、時には第三者のユーザーという立場で、導入を検討されている企業にアドバイスをしていただくこともあります。
──リーダー側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
田中 一方的なお願いではなく、WIN-WINの関係であることを重視しています。たとえば、我々が主催するイベントで、自社の認知度向上やリード獲得の機会として活用いただけるよう、リーダー企業のブースを出展できるようにしています。実際に、井村屋さんにアイスクリームを提供いただいたり、LIXILさんにブース出展をしていただきました。
──活動は「企業」としてではなく「個人」として依頼するのはなぜですか。
石原 依頼を必ず「個人」単位でお願いしているのは、企業単位にしてしまうと「やらされ感」が出て、純粋な熱意が損なわれてしまうからです。あくまで個人の「好き」という熱量にフォーカスすることが、ポジティブな関係を維持するうえで欠かせません。
