HubSpot Japanは、従業員数50人以上の企業・団体でマーケティング業務に従事しているビジネスパーソン計787名を対象に「日本のマーケティングに関する意識・実態調査」を実施した。
Google検索における「AIによる概要(AI Overview)」表示で「ゼロクリック現象(※)」が発生したことをはじめとして、マーケティング担当者を取り巻く環境はAIの進化と普及により大きく変化している。これにより、領域によっては従来定石とされていたマーケティングプロセスが機能しづらくなってきていることも各所で指摘されている。
このような市場環境の変化を受け、本調査では2024年11月実施の調査(以下、「前回調査」)との比較も行いながら、マーケティング担当者(以下「マーケター」)の意識や実態を可視化し、日本のマーケティング組織が企業の競争力に貢献するために何が必要なのかを考察することを目的として実施した。
※ゼロクリック現象:「AIによる概要(AI Overview)」などで検索結果画面で回答が完結し、ユーザーがWebサイトへのリンクをクリック(遷移)しなくなる現象
1.生成AIの業務活用が本格化し、マーケターの81.6%が利用 さらに81.1%が「業務の役に立つ」と実感
生成AIの利用実態
 
生成AIを業務に利用している人は、回答者全体の81.6%に達した。とくに「週1日以上利用している」層は52.7%となり、前回調査の32.6%から大きく増加。一方で「まったく利用していない」層は18.4%に減少(前回調査では28.9%)し、生成AIの業務活用が本格化している様子がうかがえる。
生成AIへの評価・実感
 
「1年前(2024年)と比較したとき、生成AIはマーケティング業務の役に立つようになってきた」という主張に対しては、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と肯定した人の合計が81.1%となり、前回調査(72.3%)から約9ポイント増加した。“生成AIの実用性への手応え”が、マーケティングの現場で確立されてきていることがわかる。
利用されている生成AIツール
 
利用者がもっとも多かったツールは「ChatGPT」(56.4%)だったが、「Copilot」(28.1%)と「Gemini」(26.2%)も前回調査と比較して利用が拡大しており、複数のツールが現場で活用されている。
さらに生成AIツールの有料版を使用しているかどうかもたずねたところ、「有料版を使っているツールはない」と回答した人は51.7%で、前回の62%から約10ポイント減少した。企業が生成AIを実務ツールとして認識し始めた結果、有料版の利用が進んだと考えられる。
2.マーケターの約7割が「AIによる顧客行動の変化」を感じる一方、実際に施策の見直し、変更ができているのは24%と、認識と行動にギャップがある
生成AIによる顧客行動の変化への認識、および変化への対応
 
「生成AIの普及で顧客の購買行動に変化を感じるか」という質問に対して、約7割(69.8%)のマーケターが「変化を感じる」と回答した。
 
一方で、変化を感じている人に「顧客の変化に対応するため、戦略や施策の見直し・変更を行っていますか」と聞いたところ、「既に見直し、実行している」と回答した人は24%にとどまった。もっとも多い回答は「見直しや変更を検討している」(52.6%)で、「変化の認識」と「実際の行動」との間に明確なギャップが存在することが明らかになった。
3.生成AIを積極的に使う人ほど、顧客の変化を敏感に感じ取り、行動にも移している
生成AIによる顧客行動の変化への認識(生成AI利用頻度別)
 
AIの利用頻度別に顧客行動の変化への認識を見たところ、AIの利用頻度が高い人ほど、顧客行動の変化を感じる傾向が強いことがわかった。具体的には、生成AIを週1日以上利用する人のうち84.6%が「変化を感じる」と回答した一方、非利用者で同様に回答した人は33.1%にとどまり、約2.5倍の差が見られた。
顧客行動変化への対応(生成AI利用頻度別)
 
顧客行動の変化への対応についても、AIの利用頻度が高い層ほど、戦略や施策の見直し・変更を進めている割合が高い傾向が見られた。「(見直しを)実行中」または「検討中」の割合は、週1日以上利用者と非利用者とで約20ポイントの差があった。今回の設問設計の元では因果関係を確定することはできなかったが、HubSpotとしては、生成AIを使いながらテクノロジーの変化にアンテナを張ることが、顧客の変化に対する敏感さや危機感の強さにつながっているのではないかと考えている。
HubSpot Japan シニアマーケティングディレクター 伊佐 裕也氏のコメント
今回の調査では、多くのマーケターがAIによる顧客行動の変化を認識している一方で、実際の戦略や施策の変更には至っていないという「認識と行動のギャップ」が浮き彫りになりました。
その中で、AIを積極的に利用している人ほど、顧客の変化を敏感に察知し、既に行動変革に着手しているという点は注目に値します。言い換えると、従来のマーケティング手法が通用しづらくなる中で、マーケターの二極化が進んでいると言えます。AIを単なる業務効率化ツールと捉えるマーケターと、顧客ニーズの変化に応じたマーケティング変革の手段として活用するマーケターです。
それを踏まえ、日本のマーケティング組織が企業の競争力向上に貢献するためには、何が必要でしょうか?
HubSpotとしては、まず何より顧客の行動に起きている変化を解像度高く理解すること。そしてその変化に合わせて組織や施策を変革するための行動を起こすことを提案いたします。どこから手をつけて良いか分からない場合は、「自社らしさの整理・言語化」から始めるのが良いでしょう。今後、AIの活用はマーケティング活動において「必須」となってきます。自社やブランドの独自性をまずはしっかり言語化することは、AIでコンテンツが量産できる時代において、自社の顧客の心に届くメッセージ構築し、成果を創出していく第一歩として特に重要です。HubSpotは、今後も日本のマーケティング組織が激しい変化に対応し、成果を上げていくことを支援してまいります。
HubSpot調査「日本のマーケティングに関する意識・実態調査 2025」実施概要
- 調査企画・実施:HubSpot Japan
- 調査委託先:マクロミル
- 調査対象:フルタイムで企業のマーケティング業務に従事するビジネスパーソン計787名(うちBtoBマーケター 443名、BtoCマーケター 344名)
- 調査方法:オンライン上でのアンケート調査
- 実施期間:2025年8月28日~9月2日
- 調査地域:日本全国
※ 調査結果は、端数四捨五入の関係で合計が100%にならない場合がある。
※ 個人事業に近い企業の回答を省くため、従業員数50名以上の企業に所属する人に絞って調査を行った。

 
              
               
              
               
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                  
                   
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                  
                 
                      
                       
                      
                       
                      
                       
        