Zoom Communications, Inc.(本社:カリフォルニア州サンノゼ)は2025年9月17日、Zoom AI Companion 3.0を発表した。

これにより、エージェント型AI機能をZoom Workplaceに導入し、ユーザーの会話から得られる洞察を活用することで、業務の質を高め、作業の効率化をサポートする。また、Custom AI Companionアドオンで利用可能な新しいカスタムAIエージェントを発表し、AI Companionでの体験をさらにカスタマイズできるよう支援する。エージェント型AIの進化により、Zoom Workplaceのユーザーは業務の最適化、成果の向上、関係強化に役立つ洞察を得られるようになる。

エージェント型AI「AI Companion 3.0」
Zoomは、今年初めに導入したエージェント型 AI 機能を基盤に、AI Companionを開発している。この主体的なエージェントスキルにより、ユーザーはミーティングでの会話を実行済みのタスクに変換して生産性と成果を最大化することが可能になる。また、業務フローを再設計してより高品質な成果物を提供し、ビジネス成果の向上を支援する。
より深い洞察を得る
さまざまなビジネスアプリケーションが使用されている現代では、ツール同士が連携せず、チーム内のコミュニケーションやワークフロー全体の議論・意思決定・コンテンツの把握が難しくなっている。AI Companion 3.0は、必要な情報を自動で見つけ出し、適切なタイミングで関連情報を提示することで、ユーザーの仕事をよりスムーズかつ効率的にサポートする。
- 新しいAIノートテイカー機能により、ユーザーは対面またはMicrosoft TeamsやGoogle MeetなどのZoom以外のプラットフォームでのミーティングでも、AI Companionを利用できる(後日、WebExにも対応予定)
- ユーザーがアイデアをメモをすると、AI Companionがそれを取り込み、内容を整理・補足し、要点を強調してまとめます(2025年10月提供予定)
- 主体的な情報取得機能によって、Zoom Workplaceにとどまらず、必要に応じてGoogleやMicrosoftのプラットフォームも横断的に検索が可能になる。ユーザーは必要な情報をスピーディーに見つけ、ドキュメントや関連資料をさらに充実させることができる(2025年11月提供予定)
主体的に動くエージェント型AIスキルで、業務を最適化
日々の業務では、雑務や管理作業に多くの時間を取られ、本来注力すべき業務が後回しになりがちである。AI Companionは、Zoom Workplace全体にわたってエージェント型のスキルを提供し、より効率的に業務をこなせるよう支援する。これにより、本来の業務に集中し、ビジネスにおける価値創出に専念できるようになる。
- AI Companionはエージェント型AIを使用して、ユーザーに代わって同僚、社外・社内顧客とのミーティングを調整する。休日や異なるタイムゾーン、現在のミーティングスケジュール状況などを分析して全員にとってもっとも適した時間を見つけるため、ユーザーはスケジュール管理にわずらわされることはない
- AI Companionに、「私の時間を空けてください」と依頼すると、予定しているミーティング、当日中に終わらせる必要のあるタスク、ミーティングの参加予定者や役割に基づいてスキップ可能なミーティングを提案する。スキップしたミーティングについては、AI Companionが作成した議事録の提供をホストに依頼することもでき、より効率的な時間管理ができる(2025年10月提供予定)
- ユーザーがミーティングの段取りや準備ではなく、戦略に集中できるように、ミーティングの準備スキルを強化した。ミーティングの前にプロアクティブなプロンプトを表示するので、ユーザーはアジェンダ、以前のアクションアイテム、重要な洞察を把握でき、生産的な議論を促進する(2025年10月提供予定)
- プロアクティブなミーティングの提案機能により、ユーザーは会話を整理しながら、アジェンダや重要な決定事項の状況を把握し、スムーズに次のアクションへ移ることができるようになる(2025年11月提供予定)
- ミーティング、チャット、対面での会話にまたがるグループコラボレーションをより効果的にサポートするため、新しい Zoomie Group Assistantは、グループメンバーに代わってアクションを起こしたり、質問に答えたりできるようになる。たとえば、ユーザーがチャットで@Zoomieをメンションし、「@Zoomi プロジェクトののプロジェクトの最新情報は?」や「@Zoomie チームのアクションアイテムは?」とたずねることで、回答を得ることができる(2025年12月提供予定)。ハイブリッド環境においては、Zoom Roomでユーザーが「Hey,Zoomie」と呼びかけることで、Zoom Roomへのチェックイン、照明や温度などの室内環境のコントロール、画面共有などのサポートを提供する(2025年12月提供予定)
- AI Companionは対面での時間を最適化する。複数のユーザーが同じオフィスにいるのにミーティングルームが予約されていない場合、先回りして通知したり、参加者が同じミーティングのために異なる部屋を予約してしまった場合は調整したり、部屋の広さや場所に基づいてもっとも適したミーティングルームを提案する(2025年12月提供予定)
- Zoom Tasksではまもなくエージェント型AIの力を活用できるようになり、ユーザーがより効率的に仕事をこなせるよう支援すr。ToDoリストの作成だけでなく、タスクの完了までサポートする(2025年10月提供予定)
成果をスピーディーに生み出す

ユーザーはAI Companionをコラボレーションパートナーとして活用できる。ユーザーの最新かつ頻出の会話トピックや重要なプロジェクトを把握し、成果を生み出すためのアクションを提案するとともに、カスタマイズされた応答を提供する。
- Zoomは、ウェブブラウザ(2025年11月提供予定)またはZoom Workplaceのホームタブ(2026年3月提供予定)で作業できる新しいワークスペースを提供する。これにより、もっとも重要な情報を適切なタイミングで表示するパーソナライズされた体験を可能にする。エージェント型AIソリューションが文章作成、リサーチ、よりスマートなワークフローの構築をサポートするので、ユーザーは仕事の成果を高めることができる
- ユーザーがより優れた文章を素早く書けるよう、ライティング支援機能を提供する。ユーザーのスタイルに合わせて対応できるインタラクティブな画面上で、ビジネス文書の下書き、編集、見直しを支援する(2025年11月提供予定)
- 新しいディープリサーチ機能は、文章作成とコンテンツの生成を支援する。たとえばZoom Docsでは、Zoomや統合されたサードパーティ製アプリ内での会話、社内ドキュメント、企業ナレッジベース、外部のウェブ検索を活用して、さまざまなデータポイントを包括的なドキュメントにまとめることができる(2025年10月提供予定)
Custom AI Companionアドオンによる、新しいカスタムおよびサードパーティ製エージェント

Custom AI Companionアドオンは、よりパーソナライズされたAI Companion体験のために、拡張されたコンテキスト機能とアプリケーション連携を提供する。カスタムエージェントビルダーの導入により、企業はより重要な業務に充てる時間を確保することができる。
- Zoom AI StudioのCustom AIエージェントにより、IT管理者はナレッジベースやツールを設定し、AIエージェントの機能を導入前にテストできるようになる(2025年9月提供予定)。このエージェントビルダーは、モデルコンテキストプロトコル(MCP)対応により、利用できるツールの設定・構築機能も備えている
- AI Companionは、ServiceNow AI Agentsを皮切りに、Agent2Agent(A2A)でも動作できるようになる。ユーザーがコンテキストを切り替えることなく、技術スタックを最大限に活用できるよう支援する(2025年12月提供予定)
- ナレッジコレクションの機能強化として、SharePointとServiceNowのコネクタが追加される。これらのコネクタは、追加のナレッジソースからデータを取得できるようになり、クエリに対してユーザーにより関連性の高い回答を提供できるようになる(2025年9月提供予定)
Zoom Workplace:AIによるエンゲージメントの向上
新しいAI機能により、Zoom Workplaceは深いつながりを促進し、仕事を効果的で魅力的なものにする。
ミーティングの効率性とエンゲージメントを向上
- ユーザーはまもなく、ライブビデオフィードを追跡して反映するリアルなアバターをZoom Meetingsで使用できるようになる。カメラに写る準備が整っていなくても、きちんとした印象が求められる場面では、自分の顔立ちをもとに作られたリアルなAI生成アバターを利用できる(2025年12月提供予定)
- ミーティングのホストはZoom ClipsとAIアバターを使って、出席者向けにパーソナライズされたメッセージを作成し、待機室での体験をカスタマイズできるようになった。この新機能はとくに、ホストがミーティング前にアジェンダの背景やインストラクションなどの詳細情報を共有するのに役立つ(2025年10月提供予定)
- Zoomユーザーが通訳コストをかけずに、グローバルな同僚やパートナーとのコラボレーションを促進できるよう、Zoom Meetings向けのリアルタイム音声翻訳を提供する。参加者はミーティングの音声を自分の好きな言語で聞くことができるようになるため、言語による障壁が減り、円滑なコラボレーションとエンゲージメントが可能になる(2025年12月提供予定)
- ZoomとCiscoは提携し、Zoom for Cisco Roomsを通じて、顧客にさまざまな選択肢と柔軟性を提供する。これにより、Ciscoのハードウェアでも高品質なZoom Meetings体験を可能にする(2025年9月にベータ版の利用登録開始予定)。さらにユーザーは、HP Dimension with Google Beam for Zoomによる、没入感のあるリアルな体験が可能になる(2026年提供予定)
- Zoom Meetingsのユーザーは今後、60fpsの高フレームレート動画、高ビットレートによる鮮明な映像、複数人のHD映像を同時に配信できる高帯域幅モードなどの機能により、音声・映像の品質向上を体験できるようになる。Zoom Roomsのミーティングでは、有線HDMI接続で1080p/60fpsまで出力でき、さらに4Kコンテンツの共有にも対応するので、プロフェッショナルなコラボレーションで高精細な映像を提供する(2025年12月提供予定)
非同期かつ分散したチームワークを促進
- ユーザーはTeam Chat内でアプリにアクセスできるようになり、Zoom Appsの管理や発見が容易になる。この機能は、将来的にAIファーストの連携基盤となるもので、たとえば、AI Q&Aエージェントがチャネル内で能動的に参加したり、@メンションに応答したり、コンテキストを理解したインテリジェントなやり取りを提供したりできるようになる(2025年9月提供予定)。また、1on1ミーティングのチャットやAIが生成したミーティング後の要約を、Zoom Team Chatのダイレクトメッセージに自動保存することで、チームのコラボレーションを強化し、認識を統一することができる
- AI Companionはミーティングの議論内容から、Zoom Whiteboardを使って共同ホワイトボードを直接生成できるようになった。何から始めればよいかわからない場合でも、目的に合わせたプロンプトを入力することで、AI Companionが数秒でテンプレートを生成する(2025年9月提供予定)
- AI Companionを使用したZoom Hub Knowledge Q&Aによって、ユーザーは容易に質問でき、Zoom内のファイルや有効なサードパーティのデータソースから情報を取得できるようになる(2025年11月提供予定)
- 通話をアクションへとつなげるため、Zoom PhoneはZoom DocsおよびZoom Tasksと連携する(Docs:2025年9提月供予定/Tasks:2025年12月提供予定)。これによりユーザーは、会話から派生したタスクを完了させ、重要な通話の洞察を把握できるようになる
- Zoom Phoneはセルラーコンパニオン機能により、外出中でも快適に利用できるモバイル体験を提供する。これにより、ユーザーはネイティブのモバイルインターフェイスを使って通話でき、低帯域幅の環境でも高品質な通話が可能になる(2025年9月提供予定、初回はT-Mobile限定)
組織のニーズをサポートする業界専用ソリューション

- Zoom は、組織や学校がビデオコンテンツを作成・管理し、その価値を最大化する方法を再構築する。新しいZoom Video Managementは一元化されたプラットフォームで、組織がIT資産を可視化・管理できるとともに、散在を減らし、ストレージ、編集、公開、検索、パフォーマンス追跡を効率化する。Zoom Meetings、Events、Webinars、Clipsにまたがるコンテンツに対応し一元化。すでにZoom上で動画コンテンツを製作しているユーザーは、Zoom Video Managementを使用することで、追加ツールや複雑なワークフローを使わずに、エンタープライズ レベルの品質とアクセス管理を維持しながら、コンテンツのパッケージ化と公開を容易に行うことができる
- 教育機関では、講義の録画、トレーニング、プロジェクトを単一のプラットフォームで部門横断的に管理できる。また、AIによる文字起こしや翻訳、検索、分析機能により、学生は非同期の講義録画コンテンツを簡単に閲覧でき、Canvas、Brightspace、Moodle、BlackboardとのLMS連携で、シームレスなアクセスが可能になる
- Zoomは看護師、小売店店員などのフロントラインワーカーをサポートするために、ハードウェア認定プログラムを拡張する。プログラムの一環として、まずJabraと提携し、認定済みワイヤレスBluetoothヘッドセットを提供する予定(2025年10月提供予定)
Zoom 最高製品責任者 Smita Hashim氏のコメント
世界中で何百万人もの人々がZoomを使用して同僚や顧客とつながっていますが、AIの助けを借りれば、これらの会話からさらに多くのものを得ることができます。AI Companion 3.0は、Zoom Workplace上、対面、互換性のあるアプリ、連携ツールなど、どの環境でも会話からより深い洞察を提供し、仕事の効率を高め、より良いビジネス成果を促進します。