顧客が目指すゴールへ「愛」をもって伴走する
──これまでの挑戦を経て、エンタープライズセールスを成功させるうえで、もっとも重要な要素は何だとお考えですか?
もっとも重要なのは、顧客の事業のゴールまで伴走することです。我々が提供する商品・サービスが、顧客の商品売上や認知向上といった最終的なゴールにどう貢献するか。そこまで考えて、顧客と自社が共に成長するという視点で向き合わなければなりません。成約や納品で終わりではなく、そこからが本当のスタートなのです。
サイキンソーでは、こうした顧客視点を組織として定着させ、営業活動の再現性を高めるための取り組みも行っています。たとえば成功事例については、メンバー全員で徹底的に振り返るようにしています。どのような背景やきっかけで商談になり、受注に至るまでにどのようなフローで進んだのか。そして納品後の顧客満足度や、その先まで伴走できたかどうかを意識して振り返ることで、成功の「型」を組織のナレッジとして蓄積しています。
そうしたサイキンソーの「型」を、新しく入ってきたメンバーもすぐにキャッチアップできるように、商談時に使用する資料も基本形を用意し、顧客向けのサービス紹介動画をメンバー向けの教材としても活用しています。
──最後に、今まさにエンタープライズセールスに挑戦している読者へ、メッセージをお願いします。
私もそうなのですが、サイキンソーには、自発的に顧客の商品を購入するメンバーが多いんです。試しに食べてみて「これは美味しかった」「味はもうひとつだが成分は良いから、ここを改善できればもっと売れるのに」といった、まるで顧客企業の社員のような熱量で、顧客のプロダクトに向き合っています。
そうしたプロダクトへの「愛」は、商談の中で先方にも伝わるんですね。やはりこれが、「信用の壁」を突破し、より深い信頼関係を築くことにつながっているのではないでしょうか。
誰もが知る大企業、とくに私のようにお菓子や食品、医薬品といった、自分自身もひとりの消費者として購入している商品の成長・発展に関わる経験は、非常に大きなモチベーションになります。
我々の腸内細菌の世界も、まだまだ未解明なことが多く、健診データなどさまざまな外部のデータと組み合わせることで、商品開発や研究に貢献できる余地は無限にあると考えます。顧客と一緒に成長を楽しむという姿勢こそが、エンタープライズセールスの醍醐味であり、成功への第一歩なのではないでしょうか。

──組織体制や営業プロセスの再編、ビジネスモデルの変化、そして「型」の蓄積といった、多くの営業組織にとって示唆に富むお話をうかがうことができました。とくに、顧客との向き合い方についてお話しされる際の熱量は、非常に印象的でした。本日はありがとうございました!
