行動変容95%を達成 次なる目標は「共育型組織」
こうした体系的なアプローチは、着実に成果を上げているという。昨年度のトライアルでは、参加者の意識変容が100%、行動変容が95%に達し、42%の参加者に具体的な成果変容が見られた。
たとえば、中堅社員からは「仕事への向き合い方を考えさせられる非常に良いプログラムでした。業務で実践したところ、顧客から『CTCは私たちを見て色々提案してくれるので、是非ともお願いしたい』との反応をいただき、既存の競合他社を置き換えて、10億円超の新規大型受注につながりました」という声が寄せられたという。
そして今、CTCが目指すのは、経験豊富な社員が一方的に教える「教育型」ではなく、立場や年齢に関係なく誰もが学び合い、気づきを共有する「共育型(共に育む)」組織の実現だ。
五十嵐氏は「上司の育成力のばらつきが、営業力のばらつきにつながり、ナレッジが陳腐化していく。これからは共に育むことでナレッジを常時アップデートし、育成力を高度化させることが必要」と語る。産学連携の研究でも、こうした協働的な学びが組織の目標達成度を高めることが証明されているという。
CTCでは現在、17の選抜営業部署が参加する「共育型オンラインコミュニティ」を運営している。営業担当者は毎日、一言日記をチャットに投稿し、ほかのメンバーの日記も閲覧できる。また、週に一度事務局から投げかけられる問い(「営業活動において大切にしていることは何ですか?」など)に対し、メンバーが回答を共有することで、互いの気づきや思考を分かち合う場となっているという。
「サイロ」が「シロ」に変わる未来へ──成長を楽しむ営業が、会社を変える
CTCの営業改革はまだ道半ばだが、この1年間の挑戦から「業績が良いときの改革にはトップダウンが不可欠であること」、そして「ハイパフォーマーを集めると化学反応が起きる」という確かな学びを得たと五十嵐氏は言う。
講演の最後に、五十嵐氏は「どんなに優れたITやデータを整備しても、最後は人・組織が動いてこそ。我々はそのチェンジマネジメントに真正面から向き合っていく」と力強く語った。
CTCセールスイネーブルメントチームが掲げるビジョンは、「成長を楽しむ営業が、会社を変える」。そして、その先に見据えるのは、バラバラだった「サイロ」が、全社の知と意志が結集したひとつの強固な「シロ(城)」へと変わる未来だ。