[マーケティング視点]パートナービジネスを始めるべきサイン
マーケティングの理論のひとつ、「キャズム理論」では、アーリーマジョリティ以降の顧客獲得において、パートナービジネスが鍵を握ると考えられています。

イノベーター層・アーリーアダプター層の顧客は、新しいもの好きで、必要な情報を自ら調査・収集し、獲得します。そのため、マーケティング活動や直販営業によるアプローチが有効な場合があります。
しかし、アーリーマジョリティ層以降の顧客は、比較的慎重派・保守派であり、信頼できる第三者の事例などを基に導入を検討する傾向があります。そこで、パートナー企業の信頼関係を活用したアプローチが効果的となるのです。
[プロダクト・ライフサイクル視点]パートナービジネスがもたらすインパクト
プロダクト・ライフサイクルの観点でパートナービジネスを捉えた場合、「成長期」と呼ばれるフェーズ、つまり製品・サービスが市場に浸透し、競合の登場により競争が激化するタイミングでパートナービジネスを拡大させると良いでしょう。

なお、その際は直販営業とパートナービジネスを並行して拡大していくのが理想的です。なぜなら、このフェーズは市場を“面”で押さえていく必要があると同時に、アーリーマジョリティ層への認知拡大も進む傾向があるからです。
また、こうしたタイミングの多くは、国による法改正などの外部環境によって加速する傾向もあります。そういった情報の収集も必須です。パートナー企業の力も借りながら、市場を面でカバーしてください。
最悪の場合、関係断絶も……必ずPMFを迎えるべき理由
パートナービジネスを始める条件として、「プロダクト・サービスがPMFを迎えていること」が必須であるとお伝えしました。それには、次のような理由があります。
- プロダクト・サービスがピボットした際、パートナー企業への再オンボーディングにコストがかかる
- すでにパートナー企業が顧客へ紹介していた場合、トラブルの原因となり、最悪の場合は関係が断絶する
パートナー契約を結び、勉強会を実施したあとで、提供するプロダクト・サービスの方向性を大きく変えたとします。
その場合、パートナー企業に対して、再度勉強会を実施する必要が出てきます。これが何度も繰り返されると、どうなるでしょうか?もしパートナー企業が競合製品も扱っている場合、「このプロダクトは不安定で顧客に紹介しにくい。他社の製品を紹介しよう」と判断される可能性が高くなります。
また、すでにパートナー企業が顧客へ紹介を済ませたあとであれば、最悪の場合、顧客との間にトラブルが発生し、パートナー企業が自社との関係を断つ原因となります。加えて、パートナー企業の業界内で悪評が広まってしまうケースもあるでしょう。
こうした事態を防ぐためにも、プロダクト・サービスを安定して売ることができる状態、つまりPMFを迎えるまでは、パートナービジネスを始めるのは控えるべきです。