「型」とは再現性のある営業の勝ちパターン
キーエンスで2年半、プルデンシャルで11年半。このふたつの企業は、BtoB・BtoCの違いもあれば、商材や顧客もまったく異なりますが、私はどちらの会社でも一定以上の成果をあげてきました。現在は、企業向けに営業の仕組みづくりを行うSales Naviという会社を経営しています。
私が両社で成果をあげられたもっとも大きな理由は、私の営業能力が格段に優れていたから……ではまったくありません。
キーエンスもプルデンシャルも、組織として営業の「型」を持っており、それをメンバーに浸透させることに長けていたからです。

株式会社Sales Navi 代表取締役 田中大貴
2008年同志社大学文学部を卒業後、キーエンス入社。連続で目標を達成したのち、2010年にプルデンシャル生命保険にスカウトされ入社。11期連続社長杯入賞、2017年には当時全国最年少でエグゼクティブ・ライフプランナー(部長)に就任する。2021年に「営業の道しるべを創る」というビジョンを掲げるSales Naviを創業し、企業の営業の仕組みづくりの支援を行う
営業の「型」。皆さんもどこかで聞いたことがあると思います。
私が考える営業における「型」とは、誰がやっても一定の成果が出せるように整理された、営業の勝ちパターン(共通のやり方)のことです。
「誰がやっても成果が出る」なんて、都合の良い魔法のようですが、これは何も営業に限った話ではありません。その代表的な例として、日本の芸道や武道に伝わる「守・破・離」という考え方が挙げられます。
「守」は、まず型を忠実に守る段階。スポーツでいえばフォームの習得、芸事でいえば基本の所作にあたります。これが「型」です。
「破」は、基本を土台に自分なりの表現や応用を加えていく段階。そして「離」は、型から自由になり、自分のスタイルを確立する段階です。
「型破り」という言葉があります。「型があるからこその型破り。これは歌舞伎の18代目・中村勘三郎さんの言葉だとされていますが、何事も「型」という土台があってこそ、その先の成長や発展があるのです。
私は営業も同じだと思っています。成果に再現性を生む“営業の原理原則”をそのまま取り入れる「型」の習得から始めることが重要なのです。
では、この営業の「型」は具体的にどのような要素で成り立っているのでしょうか。次のページでは、その全体像を詳しく解説していきます。