営業の型には、「普遍的な型」と「組織ごとの型」がある
営業には、成果に再現性を生む“原理原則”があります。それは次の4つの要素のことです。
・知識
営業全般に関わる情報、業界や商品などの基本的な情報のこと
・スキル
主に商談時の会話術のこと。いわゆるテクニックのこと
・習慣・管理
習慣は「成果を出すために繰り返す日常の行動パターン」、管理は「目標に向けた改善を促し、改善を促すプロセス」のことで、目標・行動・案件が主な対象となる
・心構え
成長マインド・達成マインド・顧客マインドという営業において重要なマインドセットのこと
そして、これらを身につけるためには、「知る→わかる→やってみる→できる」という4ステップを踏むことが大切です。
営業には身につけるべき4つの要素があり、それらは4つのステップを経て習得できる。このことを踏まえたうえで、営業が習得すべき型は、大きくふたつの層に分けられます。

営業の「型」全体像
ステップ1「知る」:普遍的な原理原則(どの組織にも共通する型)
ひとつめは、どんな営業にも共通する“普遍的な原理原則”です。これは、いわば営業活動の“土台”であり、表で言うと、「知る(ステップ1)」の段階にあたります。
たとえば4つの要素の中の「スキル」の領域で言えば、ヒアリングスキルとして「現状や課題を聞き出す重要性」、提案スキルとして「商品の特徴だけでなく、競合優位性を伝える必要性」といった原則を学びます。
これらは業界を問わず使える汎用的なフレームであり、多くの組織が行っている新人研修などで学ぶ内容が該当します。
ステップ2「わかる」:自社特有の型(企業ごとにつくるべき型)
それに対して、会社や業界、商材ごとに最適化された“自社特有の型”が存在します。これは「わかる(ステップ2)」に該当し、実際の商談や顧客とのやりとりの中で磨かれてきた、組織ごとの具体的なトークや判断基準を指します。
自社特有の型は、たとえば「○○さんはどのようなきっかけで保険に加入されたのですか?」「毎月○万円の保険料はこの先もずっと払い続けられそうですか?」といったように、自社の商材やお客様像に即した具体的なトークスクリプトへと落とし込まれます。これは会社ごとにつくるべきものですが、この型を持っている企業は少なく、仮にあったとしても形骸化していることがほとんどです。
このように、営業の型には、全営業に共通する「普遍的な型」と、各企業が独自につくる「組織ごとの型」の2種類があるのです。
型は単なる“マニュアル”ではなく、原理原則(知る)と現場知(わかる)をつなぎ、成果の再現性を生む設計図とも言えるでしょう。
なお、「やってみる(ステップ3)」と「できる(ステップ4)」は、ステップ1と2で学んだ型を現場で実践し、定着させるプロセスです。これについては、次回以降の連載で詳しく解説します。