【インサイドセールスの王道】第一に「量」の徹底
──2019年より現在までインサイドセールス支援事業に従事してこられた原さんに、「インサイドセールスの最前線」についておうかがいします。ビジネスを取り巻く環境も大きく変化し、AIエージェントなど最新ツールが誕生している中、インサイドセールスの動向をどう見ていますか。

セールスリクエスト 代表取締役 原 秀一氏
大手人材会社に入社後、転職サイトの法人営業に従事。その後、弁護士ドットコムにて法人営業に従事。2019年、セールスリクエストを設立し代表取締役に就任。直接的な売上向上をするためのインサイドセールス代行支援、セールス・マーケティングの現状把握からボトルネックを抽出するためSalesforce/AccountEngagement(旧Pardot)の活用支援を行う。2023年8月、セールスリクエストとともにAll’s groupにM&Aで参画。オーリーズ取締役に就任
大きな変化として、非IT企業でのインサイドセールス立ち上げが増加し、インサイドセールスが当たり前の存在になったことが挙げられます。6年前に当社を設立した際は、顧客の99%がIT・SaaS企業でしたが、現在ではIT・SaaS企業が6割、非IT・SaaS企業が4割程度を占めるまでになりました。
しかし、6年経った今でも、お客様の課題はほとんど変わっていません。たとえば「実行力が足りない」「Salesforceの活用ができていない」「事業のモニタリングができていない」といった課題感は、依然として多くの企業が共通して抱えています。
AIなどのテクノロジーが発達している一方で、多くの企業はまだAI活用の領域までたどり着いていないのが肌感です。
──多くの企業が、そういった課題から抜け出せないのはなぜでしょうか。

インサイドセールスは第一に「行動量」、そしてそこから「質」を上げていくのが基本であり王道ですが、多くの企業では、まず「量」の徹底ができていません。
言い換えれば、「凡事徹底」が疎かになっています。たとえば、顧客を継続的に追いかけること、Todoを設定して次のアクションを決め、期日通りに追客すること。あるいは、月に一度コンテンツを入れ替えながら、過去の失注顧客に商談打診メールを送るといった、当たり前とも言える施策が意外と徹底されていません。これは、コール数、メール数、施策の数、すべてにおいて言えることです。
そして、行動量を促すマネジメントができていないことも課題です。さらに、自分たちの活動が事業進捗にどう影響しているのか、そのアクティビティを適切にモニタリングできていない企業も散見されます。インサイドセールスの成果が伸び悩んでいる場合、この「行動量」「モニタリング」が本当に徹底できているかは振り返ってみるべきだと思います。
たとえば弊社の場合、KPIは商談数ではなく有効商談数、見積金額など、本来のKPIの“次”の指標を常に追いかけており、行動量の“当たり前の基準”を高く持てる仕組みを徹底しています。
テクニックや流行りのツールに飛びつく気持ちもわかります。ただ、それらは「質」を高めるための手段です。自社の成果を高める最適解を見つけたいのであれば、まず量をこなし、試し、失敗しながら探すしかないのです。