【インサイドセールスの革新 3】AI活用の具体例とポイントとは
──インサイドセールスもAI活用を視野に入れる必要が出てきていると思いますが、意識すべきポイントや注意点があれば教えてください。
AI活用には大きく分けてふたつの方向性があります。ひとつはアプローチの量を増やすAI活用、もうひとつはアプローチの質を上げるAI活用です。
私はどちらかというと「質」を高めるために使うべきだと考えます。またその際には人間が主体となり、あくまでもAIをサポート役として活用するのが最適解だと思っています。
AIに丸投げしてコールやメールを自動化するのは、顧客体験の悪化につながりかねません。結果的にインサイドセールスという仕事自体を苦しめるだけです。
大切なのは、1社1社に丁寧なアプローチをするための時間効率化や、受注しやすいセグメント、LTVの高いセグメントの顧客探索といった部分で、AIを活用することです。これはまさに「質」の部分であり、AI活用における勝ちパターンのひとつだと考えています。
【インサイドセールス・ネクスト】“事業成長”のエンジンへ
──この変化の激しい時代において、改めてインサイドセールスの役割を定義いただけますでしょうか。
インサイドセールスの真の価値は、何もないところから商談を生み出すことにあります。ゼロから顧客接点を創造し、そこから商談、そして受注へとつなげていく。これこそがインサイドセールスの本来の価値であり、やるべきことだと考えています。
資料請求や問い合わせなどのインバウンドリードだけでも、ある程度の商談は生まれます。しかし、それだけでは当然、大きな成長曲線を描くことはできません。
インサイドセールスが主体となってプッシュ型で開拓し、結果として、その顧客層が非常にLTVの高い優良顧客であった、といった発見は、まさに事業開発そのものです。顧客層に応じたPMF(Product Market Fit)を実現していく流れは、インサイドセールスが主体となってつくり上げていける価値なので、そこを忘れてはいけません。
──最後に、インサイドセールスに携わる読者へメッセージをいただけますでしょうか。
繰り返しになりますが、自分たちの実力がどれくらいなのかを測るためにも、逃げずに行動量を積み重ね、その行動量をきちんとモニタリングすることが非常に重要です。まずはこの基礎となる環境を自社で構築して初めて、質への転換や施策の改善につながります。
スポーツの「強豪校」をイメージしてみてほしいです。ほかとは明らかに違う強いチームは、練習が終わったあとに必ず筋トレをするなど、それが「当たり前」になるくらいに徹底されています。
私たちセールスリクエストも、そんな強豪校になりたいんですよね。「商談をとって万歳」ではなく、商談をとるのはあくまで手段で「本当にお客様が何を求めてるかを考え、その一歩先を行く」。この意識が、チームを強くする源泉になると思っています。

──本日はありがとうございました!
原さんの著書の紹介記事はこちら:
『インサイドセールス 実践の教科書 立ち上げから組織づくり、事業成長まで』(栗原 康太 監修/原 秀一、名生 和史 、原口 拓郎 著 翔泳社)