営業日報は、「役に立たない時間泥棒ツール」!?
営業日報は、多くの組織で営業活動の「必須業務」として位置づけられています。一般的には、その日の営業活動を時系列でまとめた自由形式の報告書で、いわば営業日記のようなものです。
営業日報の活用について、営業部員に話を聞くと、次のような不満がよく挙げられます。
「営業部長に怒られないよう、文量を増やすために毎日30分以上かけて作成している」
「内容を考えるのが手間で、非常に時間がかかる」
一方、営業日報を受け取る営業部長の意見は次のとおりです。
「時間があるときにザッと目を通すだけ」
「内容が稚拙でわかりづらいので、営業会議で進捗を改めて確認している」
「時々目についた案件があれば、指導や助言する程度」
このように、営業部員は怒られないよう時間をかけて日報を作成しているにも関わらず、営業部長はザッと目を通す程度で、指導や助言にもあまり活用されていないのが現状です。
さらに、営業日報の導入理由について営業部長にたずねると、次のような曖昧な回答が多く聞かれます。
「ほかの組織でもやっているから」
「前任者から引き継いだから」
営業日報には明確な目的が設定されていない場合が多く、その結果、実際の効果や成果がほとんど期待されていないのが現状です。
営業会議が長引くからアポを入れない? 本末転倒の「無駄な場」に
多くの組織で行われる営業会議。しかし、単なる「報告会」と化し、前週の進捗を報告するだけで終わるケースが少なくありません。その結果、営業日報と営業会議の役割が重複している状況が見受けられます。
とくに商談の進捗が悪い報告がある場合、会議の場で営業部員が問い詰められたり叱責されたりすることがあります。これにより会議が予定時間を大幅に超えることも珍しくありません。
その影響で「会議が長引くかもしれないから営業会議の日にはアポを入れない」といった本末転倒な問題が発生します。本来、営業部員にとってお客様と会う時間は最優先すべき仕事ですが、このような状況ではその時間が奪われてしまいます。
さらに、営業会議では、他の営業部員の報告や営業部長の指導を聞いても、メモを取る部員がほとんどいないのが現状です。「自分は大丈夫」「自分はそんなミスをしない」といった思い込み(生存者バイアス)が、他者から学ぶ姿勢を妨げています。
その結果、営業会議が本来の目的を失い、時間の無駄となり、組織の成長を妨げる要因になっています。この状況を改善するには、営業日報と同様に、営業会議の目的や運用方法を見直し、本来の価値を取り戻すことが不可欠です。