危機に直面するのは「目標達成機能」が発揮されないとき
リーダーシップが欠けると、組織全体の成果に深刻な悪影響をおよぼします。これは営業組織でも同じで、リスクを避けるには適切な指針が必要です。
そのひとつが、日本の社会心理学者によって提唱されたと言われる「PM理論」です。この理論では、リーダーの役割を「目標達成機能(Performance)」と「集団維持機能(Maintenance)」のふたつに分けて考えます。
前回記事(「営業日報」と「会議」は本当に必要? 育成と成果創出に活かすためにマネージャーができること)では、「集団維持機能」の具体例として、営業日報や営業会議の重要性を紹介しました。しかし、営業組織が本当の危機に直面するのは、「目標達成機能」が十分に発揮されないときです。
本記事では、営業組織の成功に欠かせない「目標達成機能」の重要性を詳しく解説します。この機能を軽視すると、知らないうちに深刻な危機を招く可能性があります。その重要性をぜひ再確認してください。
営業マネージャーの、4つの重要な役割
営業マネージャーには、PM理論の「目標達成機能」の観点から次の4つの重要な役割があります。これらはどれも欠かせない役割です。
1.受注売上の進捗確認
2.商談の内訳やプロセスの把握
3.重要な商談や案件への介入
4.営業部員への指示と実行の確認
まず、「受注売上の進捗確認」は営業マネージャーが日常的に行う基本業務です。進捗を正確に把握することで、その後の対応を適切に計画できます。
次に、「商談の内訳やプロセスの把握」です。販売戦略が計画どおりに実行されているかを確認しないと、誤った結論を導いて組織が混乱し、疲弊する可能性があります。
たとえば、「多摩地区の中小企業製造業を攻略して8,000万円の売上を目指す」という目標を立てたとします。もし実績が5,500万円にとどまったとしても、戦略が間違っていると結論づけるのは早計です。
商談内容を詳しく確認すると、営業部員が十分なアポイントを取れていないことが原因である場合が多々あります。つまりこの場合、問題は戦略ではなく、その実行が不十分である点にあります。
このような誤解は多くの組織で見られます。正しい戦略を立てることは比較的容易ですが、それを確実に実行させることははるかに難しいのです。
「受注売上の進捗確認」や「商談の内訳やプロセスの把握」は多くの営業組織ですでに実践されています。しかし、組織の成果を本当に左右するのは、「重要な商談や案件への介入」と「営業部員への指示と実行の確認」です。このふたつが営業組織のパフォーマンスを最大化する鍵となります。