賃貸にとどまらない「社会貢献」のパートナーへ
──今回営業改革を牽引した法人営業部について教えてください。
荒砂 レオパレス21は売上高の96.4%を賃貸事業が占めており、そのうち法人契約が6割を超えています。ここを当社の強みとし、営業戦略に取り組んでいるのが法人営業部です。
私たちは単なる「出入り業者」ではなく、顧客企業の社宅に関する課題解決に取り組むパートナー、言い換えると、社宅に関するあらゆるファーストコールを受ける存在「社宅戦略のブレーン」としての地位確立を目指しています。このスローガンを打ち出して以降、社長や役員らも営業活動を展開し、社を挙げて突き進んできました。ここまで大規模に法人営業に取り組んでいるのは、不動産業界ではめずらしいのではないでしょうか。
──「社宅戦略のブレーン」をスローガンに営業改革に取り組んだ背景を教えてください。
荒砂 コロナ禍における業績悪化が背景にあります。2018年に発覚した施工不備問題により当社は危機に面していました。退去者が増え、入居者は減少。営業活動もできず、ブランドイメージも傷ついていました。そして追い打ちをかけるように、2020年にはコロナウイルス感染拡大が起こります。オーナー様は約2万6,600人いらっしゃいますが、サブリースで家賃保証をしているため、入居がない状態では当社の全額負担。入居者の減少は業績に直結したのです。
危機からの脱却のため、まずは入居率アップを目標としたとき、限られたリソースを、レオパレス21の強みである「法人契約」に集中投下しようと考えたのです。
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──法人営業推進室はどのような役割を果たしましたか?
松村 法人営業推進室は業績が良かった当時は、新たな営業施策の企画立案や数値管理を主としていました。業績悪化にともない、全員が同じ方向に向かうための戦略立案・運用に注力するようになったんです。
荒砂 営業部は全国にあり、地域により慣習や属人的な違いがあります。会議ひとつをみても、「なぜ本部はこんなことを言っているのか」とずれが生じてしまう。このずれをくみ取りながら同じ方針に則って運営管理していくのが、法人営業推進室の仕事ですね。本部と地方拠点の営業部員はなかなか接点がつくれませんが、推進室がさまざまな角度で発信するなどして、方向性を示してくれています。
──「社宅戦略のブレーン」を打ち出し、その先に見据えているのは、どんな未来像なのでしょうか。
荒砂 見据えているのは「新たな価値の創造」です。各分野で活躍されている取引企業と不動産業者であるレオパレス21が連携し、社会に価値を還元したい。たんなる部屋の貸出業者ではできないことを探っていきたいのです。
たとえば、災害時に被災者支援のため約100名の雇用創出に着手したタクシー業者に所有物件を貸し出したり、海外IT人材サービスでの人材受け入れの際に、管理物件の貸し出しや多言語コールセンターなどを通じたサポートを実施したりしています。部屋を貸すだけではないビジネスパートナーを目指しています。