カルチャー醸成を支える「イネーブルメント専任担当」の役割
カルチャーの浸透は一朝一夕では成し得ません。組織が大きくなればなるほど、経営層による指導がミドルマネジメントに伝わり、そこからメンバー全体へと波及していくには時間がかかります。
組織が拡大する中でカルチャーを醸成するには、セールス・イネーブルメントの専任担当・部門を設置することが有効です。セールス・イネーブルメント部門はSales Techの活用、オンボーディング、データマネジメントなどを行うイメージがあるかもしれませんが、カルチャー醸成の仕組みを整えることも大切なミッションです。セールス・イネーブルメント部門の責任者は営業責任者の“参謀”として、営業責任者が営業組織としての行動指針を策定し、それをどう仕組みとして浸透させていくか一緒に考えていきます。
たとえば、「SFAへの商談のデータ入力は必ず当日中に行う」「顧客へのレスポンスは12時間以内に行う」「事前準備はテンプレートを使って行う」などの行動指針を立てた場合、それらを仕組みとして実行しやすくするのもイネーブルメント担当の役割です。また行動指針に即したメンバーの行動を称賛する場をつくったり、定量的なデータからカルチャーに結びつく行動をしたメンバーをピックアップしたりするのも有効でしょう。
強固なカルチャーが根づいてくると、メンバー同士が自主的に指摘し合うようになります。カルチャーから逸脱する行動を見かけた際、「それはうちの会社らしくない行動ではないか」という発言が増えてきます。こういう状態になってくると、メンバーが増えたとしても末端までカルチャーが浸透する良い循環が形成されます。
また、営業組織の内部で醸成されたカルチャーが、他部門にも良い影響を与えることも多々あります。たとえば、営業チームの顧客とのコミュニケーションの取り方や目標への必達のカルチャーが、カスタマーサクセスの組織へ伝播することもあります。こうした横のつながりを仕組みとして強化することが、会社全体のカルチャーの醸成に寄与します。DIGGLEでも、カスタマーサクセスやマーケティング組織の勉強会に営業メンバーが出るなど、相互に関わりを持つようにしています。
仕組みやシステムを整えるだけでは不十分で、土台となるカルチャー醸成がないと実行力が落ち、仕組みやシステムも形骸化してしまいます。SFAの活用と徹底して実行するカルチャー醸成の両輪を営業組織全体に浸透させることで、強い営業組織が形成され、継続的な成長を遂げることが可能になるでしょう。