KPIは「自分でコントロールできる」ことが前提
営業組織の実行力を高めて効果的に機能させるには、「先行指標」をKPIに設定することが重要です。先行指標は「目標達成に向けた行動」を示す具体的な指標であり、売上や契約数といった遅行指標よりも早期に結果を予測し、改善の打ち手を打つことが可能です。売上や契約数はあくまでも先行指標の結果でしかありません。
一般的なKPIとして、各メンバーの商談件数、架電数、メール送信数などを先行指標として設定することが多いです。商談における「競合状況を聞いた件数」「〇〇な事例を話した件数」なども当てはまるでしょう。
ここで重要なのは「自分でコントロールできないKPIは設定しない」ことです。「自社サイトからの問い合わせ数」などをKPIとして設定すると、営業メンバーがコントロールできず改善策も打てないため、意味のないKPIになってしまいます。
会議体の「頻度」と「アジェンダ」がカルチャーを左右する
先行指標は適切な頻度で会議体を設定し、進捗を確認しましょう。DIGGLEでも、日次/週次/月次/四半期といった複数のタイムフレームで進捗を管理する仕組みを設けています。日次では、朝会や夕会でメンバーのKPI進捗の共有、その日にやると宣言したことができているか確認し、できていなければ改善のアクションを決めて翌日実行します。週次や月次の会議では各メンバーが定量的なKPIと定性的な案件情報、営業施策の振り返りを行ってギャップを洗い出してスケジュールとアクションを明確にします。
これらのすべての会議体の内容を議事録に記録し、全員が確認できるように保管することで、過去の決定や改善策をすぐに振り返ることができるようにしています。そのうえで、営業マネージャーはこれらの会議体でメンバーに適切なフィードバックを行い、次のアクションに具体性を持たせることが重要です。このような仕組みをつくることで、徹底して実行するカルチャーが自然と根づいていくのです。
会議体の頻度とアジェンダが営業組織のカルチャーをつくると言っても過言ではありません。会議体によって目標とのギャップを埋め、細かい単位で軌道修正していきましょう。
施策を検証するには「行動量」が必要不可欠
営業施策の効果を検証するには、計画を立てるだけでなく、その施策を確実に実行することが必要不可欠です。いくら良い施策を立てたとしても、実行数が少ないと有効な検証はできません。 たとえばBDRの施策として、上場企業の役員へ手紙を送付してアポイントを獲得するとします。その際、50通しか手紙を送らず、1、2回しか後追いコールをしなければ、施策の効果をしっかりと見極めることはできません。もちろん、費用対効果を考えて撤退することも大切ですが、上記の例では、たとえば手紙を1,000通は送付し、5,000コールしたうえでアポ獲得率がどれぐらいになるか考察しても良いのではないかと思います。
これらの施策は必ずデータ化して定量的・定性的に分析できるように整備しましょう。第2回でも解説したように、営業組織の実行力を高めるにはSFAなどのSales Techを効果的に活用することが前提です。基本的に、営業活動はすべてSFAに入力し、そのデータを基にアクションが徹底されているか、施策は有効だったのか判断します。むしろ「データが入力されていないものは判断材料にしない」くらいが良いでしょう。データをベースにしないと、営業メンバーが言っている「N=1」を過大評価して正しい判断ができない、本当に実行しているのかわからないということが起きてしまうのです。