「SFA×BIツール連携」でデータの分析・一元化を実現
セールス・イネーブルメントの基盤として、SFAはとても重要なツールです。そこで第1回では、分析を前提とした効果的なSFAの構築方法と形骸化を防ぐコツを解説しました。これによりデータの蓄積は進むでしょう。しかし、ただデータを入力するだけでは意味がありません。蓄積したデータをもとにKPIの進捗状況を可視化し、目標との差分を定期的に確認しながら施策を検証して、営業組織のパフォーマンスを改善していくことが基本です。
ところが、SFAは「営業データの蓄積」は得意である一方、「目標との差分の可視化・分析」はそこまで得意ではないのです。SFAのデータを分析しようとして、各部門や個々人で独自に管理されている「野良スプシ(スプレッドシート)」が増えてしまうケースも少なくありません。
課題や改善点を瞬時に把握するため、BIツール(Tableau、Looker Studio、SALESCOREなど)をAPI連携して活用するのがおすすめです。データが一元管理されて整合性も保たれることで、全社的なデータ活用も進むでしょう。データドリブンな議論や意思決定の文化を醸成するため、SFAとBIツールを中心にデータガバナンスを強化してください。
目的に応じて分析軸を設定し、SFAの設計に反映する
データドリブンな営業組織を実現するSFAの活用方法として、まずは月次や四半期ごとにデータを分析してトレンドやパターンを特定し、仮説を立ててください。たとえば売上の変動をカテゴリーごとに把握して、その要因を探ると良いでしょう。
DIGGLEでは業種/企業規模/リードソース/メンバー/競合状況といったカテゴリーごとに、商談数/受注数/各フェーズの遷移率をワンクリックで把握できるようにSFAを設計しています。これにより、「現在のリードソースは受注率が低い」「この業種は想定以上にフェーズ遷移率が低い」などの課題が浮き彫りになり、予算の再配分やターゲット層の変更といった具体的な改善策をリアルタイムで実行できるようになります。
また、新しい施策やキャンペーンを行う場合も、SFAのデータを使って効果の測定・検証を行ってください。たとえば、新しい営業資料を活用した商談にSFA上でフラグをつければ、その資料を用いた商談/用いていない商談の受注率の差を検証できます。効果の測定・検証を前提にSFAとBIツールを設計し、データに基づくフィードバックループを構築できれば、施策の精度は高まっていくでしょう。SFA上の定量的なデータだけでなく、定性的なデータも組み合わせて検証することをおすすめします。
さらに、営業組織のパフォーマンスを高めるうえでは「案件レビュー」の実施も欠かせないでしょう。案件レビューでは進行中の案件の進捗状況を詳細に確認し、ネックや懸念点を明確にして対策を立てます。その際、SFA上に「意思決定基準」「ステークホルダー」「競合情報」「予算」「失注する可能性がある要因」といった情報がそろっていなければなりません。
DIGGLEでは、案件レビューに必要な情報を入力しないと商談のフェーズを進められないようにSFAを設計しています。そのデータをもとにBIツールで分析し、案件レビューを行っています。