営業活動にツールを活用するメリット
営業活動に関するデータをExcelに入力したり、手書きのメモで記録したりしている営業組織もあるかもしれません。しかし、ITツールを活用すると多くのメリットが期待できるため、具体的にどのようなメリットが見込まれるか紹介します。
業務が効率化する
営業職のメインとなる業務は、顧客と商談を行って受注を獲得することです。
しかし、商談や顧客対応のほかにも、提案書作成やスケジュール調整、顧客情報・案件情報のデータ入力、見積書・請求書・契約書作成など、関連するさまざまな業務が発生します。そうした事務的な業務に時間を取られていると商談や顧客対応などに充てる時間が少なくなり、顧客との関係性が構築できなかったり、ニーズに合わない提案をしてしまったりして、受注を獲得できないリスクが高まるでしょう。
そこで役立つのが、営業ツールです。営業活動に活用できる便利なツールを導入すると、事務的な業務の効率化につながります。
たとえば、商談のたびに提案書を一から作成していると膨大な時間がかかりますが、営業ツールを利用すれば、他の営業メンバーの提案書も共有して作成できるようになります。また、スマートフォンにも対応しているツールを使えば外出先や移動中でも作業でき、オフィスに戻らなくても業務を行えるため効率的です。 h3:ミスが削減する 正しく入力したつもりなのにデータが間違っていた、データの入力漏れや重複入力をしてしまったという経験がある人も多いのではないでしょうか。
こうしたミスは、1つひとつは些細なものでも、ちょっとした間違いから顧客からの信頼を失うリスクがあります。また、1件でもデータが間違っていると正しくデータを集計できないため不正確な分析結果になり、誤った営業戦略を立案しかねません。
また、Excelやスケジュール帳で案件管理をしていると、対応の漏れや遅れが発生しやすくなります。その結果、顧客からの信頼を失い受注できない場合もあるでしょう。
しかし、営業ツールを活用するとミスの削減が期待できます。
たとえば、営業ツールの中には自動で重複データを検出する機能が搭載されているものがあるため、データの重複入力を防げます。他ツールと連携できるツールを使えば、どちらかにデータを入力するだけでもう一方のツールにも自動同期されて、入力漏れを防ぐことも可能です。
また、営業案件の進捗状況をチェックできるツールを活用すると、対応の漏れ・遅れが発生している案件を把握できるため、スピーディに対応して信頼関係を深められます。
データを蓄積できる
効果的な営業戦略を立案するには、データの活用が必須です。過去のデータから顧客の課題・ニーズを分析したり、自社商材の売上の傾向を把握したりして、精度の高い営業戦略を立案します。
しかし、そもそも営業のデータが蓄積されていないという営業組織も少なくありません。営業情報の管理が属人化していると、たとえば「AさんはExcel」「Bさんは手帳」などとバラバラになり、顧客や売上に関する情報が社内に点在している状況になります。
このような状況では営業データの分析が難しいため、営業戦略を立案できません。
そこで、組織内の営業活動に関するあらゆる情報を営業ツールに集約しておけば、すぐに必要なデータを取り出せて便利です。ツールによっては自動で分析してくれる機能もあり、スキルがなくても高度な分析が可能です。
情報共有が円滑になる
営業活動が属人化していると、誰がどの案件を担当していてどのような状況なのか把握しにくくなります。
そこで、顧客情報や案件情報などを営業ツールで共有できるようにしておけば、マネージャーは営業ツールを確認するだけで状況やボトルネックを把握できるため、スピーディにアドバイスや指示を出せます。また、営業メンバーはマネージャーへの報告や日報作成などの時間の削減にもつながるでしょう。
他部門が導入しているツールと連携すれば、データを自動で同期できるため情報共有がスムーズになり、部門間の連携も強化できます。
営業に使える便利ツールの種類
営業で活用できる便利なツールは多様な種類があるため、自社の課題や業務フローなどに合わせたツールの選定がポイントです。そこで、主なツールの種類と、それぞれの特徴や違いについて紹介するので、自社に適しているツールを検討する際の参考にしてみてください。
MA
MAは「Marketing Automation」の略称で、マーケティング活動に関わる業務を自動化する機能が搭載されているツールです。リード(見込み顧客)の獲得・育成や、確度の高いリードの抽出などを行えます。
主な機能 |
|
活用できる営業シーン |
|
解決できる営業課題 |
|
SFA
SFAは「Sales Force Automation」の略称で、日本では「営業支援ツール」とも言われます。その名の通り、営業活動を支援する機能が充実しており、営業情報の一元管理や効率化などが実現します。
主な機能 |
|
活用できる営業シーン |
|
解決できる営業課題 |
|
CRM
CRMは「Customer Relationship Management」の略称で、日本では「顧客関係管理ツール」と言われる、顧客と関係性を深めて受注獲得やリピーター育成などにつなげるツールです。SFAと似通った機能が搭載されているため、最近は「SFA/CRM」と一括りにする場合もあります。
主な機能 |
|
活用できる営業シーン |
|
解決できる営業課題 |
|
名刺管理ツール
名刺管理ツールは、名刺情報をデータ化して管理できるツールです。ツールによっては、同じ企業の名刺情報をまとめたり、組織図を作成したりする機能もあります。
主な機能 |
|
活用できる営業シーン |
|
解決できる営業課題 |
|
オンライン商談ツール
コロナ禍を経てリモートワークが広がり、営業活動をオンライン化している企業も少なくありません。オンライン商談ツールを活用すると、対面での商談のように顔を見ながら話すことができ、スムーズに商談を展開できます。
主な機能 |
|
活用できる営業シーン |
|
解決できる営業課題 |
|
他
ここまで紹介してきたツール以外にも、営業活動で活用できる便利ツールがあります。一例として、以下のようなツールが挙げられます。
- カレンダーツール:スケジュールを管理したり、他の営業メンバーとスケジュールを調整したりできるツール
- CTI(Computer Telephony Integration):架電・受電と関連業務を行えるツール
- 請求書作成ツール:請求書・見積書・納品書などを作成し、メール送信や郵送ができるツール
- ビジネスチャットツール:社内メンバーや顧客などとチャットできるツール
ここに挙げたようにさまざまなツールがあるため、自社の課題や目的に沿って適したツールを活用しましょう。
営業の便利ツールを使い分ける重要性
前章で紹介したように、営業で活用できる便利なツールの種類は多岐にわたります。搭載されている機能が異なるため、自社の営業課題や業務フロー、組織体制にマッチしたツールでなければ効果が見込めません。
そのため、手当たり次第にツールを導入するのではなく、自社の営業課題を解決できる機能を備えたツールの導入がポイントとなります。
ただし、顧客の価値観や購買プロセスが多様化しており企業の営業課題も複雑化しているため、ひとつのツールでは営業課題を解決できない場合も。そこで、目的や必要性に合わせていくつかのツールを使い分けるのがおすすめです。
たとえば「MAでリードの獲得・育成をして商談を創出」「SFAで商談内容や受注までのプロセスを管理」「受注後はCRMでフォローしていく」といった方法があります。このフローに付随して、必要があればカレンダーツールや名刺管理ツールなどを活用するようにします。
それぞれの特徴や機能をしっかりと把握したうえで、自社にとってメリットとなるツールを活用することが、営業の成果を高めるポイントです。
営業の便利ツールおすすめ10選
ここからは、具体的な営業ツールを10選紹介します。
MA「Adobe Marketo Engage」
「Adobe Marketo Engage」はAdobe社が提供するMAで、メールやSNS、イベントなど、オンライン・オフラインをまたいで顧客とコミュニケーションを図れます。搭載されたAIが業務をサポートしてくれるため、データに基づいた施策を考案できるでしょう。
MA「SATORI」
国産MAの「SATORI」は、問い合わせや名刺交換などで実名を把握している顧客だけでなく、接点を持つ前段階の匿名客にも働きかけが可能です。サポート体制も手厚いため、初めてMAを導入する企業でも導入・運用定着がスムーズに進むでしょう。
SFA「Sales Cloud」
SFA業界の中でも世界的にトップクラスのシェアを誇る、Salesforce社の「Sales Cloud」。多機能でカスタマイズ性も高く、高度な営業管理や分析をしたい営業組織におすすめのSFAです。Salesforce社が提供するMAやカスタマーサービスツールなどとシームレスに連携できます。
SFA「Mazrica Sales」
「Mazrica Sales」は、営業現場での使いやすさにこだわっている国産SFAです。使いやすいインターフェースとモバイルアプリで忙しい営業担当者もスムーズに利用でき、搭載されているAIが受注確度やネクストアクションを提案してサポートしてくれます。
SFA「eセールスマネージャー Remix CLOUD」
「eセールスマネージャー Remix CLOUD」は、一度のデータ入力で顧客情報や案件情報、リストなどにデータが反映される「シングルインプット・マルチアウトプット」をコンセプトにしたSFAです。マップ上に顧客情報が表示される便利な機能もあります。
CRM「Zoho CRM」
「Zoho CRM」は、世界で25万社以上に導入されており、CRMだけでなくSFAやMAの機能も備わっているツールです。オールインワンのため複数のツールを導入することなく、関連部門と同じツールを利用できるため部門間の連携もスムーズになります。
CRM「HubSpot CRM」
「HubSpot CRM」は、顧客管理や営業管理などの機能が搭載された、無料で利用できるCRMです。同社が提供するMAやSFA、カスタマーサービスツールなどと連携することで、「HubSpot CRM」を基盤にしてさらなる業務効率化を図れます。
名刺管理ツール「Sansan」
「Sansan」は、99.9%の精度で名刺情報をデータ化できる名刺管理ツールです。社内の名刺情報を一元管理して共有できるだけでなく、リスト作成やメール配信などの営業活動に役立つ機能も搭載されています。自動で人事異動の情報も更新されるため、キーパーソンとの接点を逃しません。
オンライン商談ツール「Zoom」
「Zoom」はリモート飲み会をはじめコロナ禍で多くの人に使われましたが、ビジネスにおいてオンライン商談ツールとしても活用できます。Zoomのビジネス向けの有料プランや、社内のコミュニケーションを活性化するAI搭載の「Zoom Workplace」も提供されています。
業務アプリプラットフォーム「kintone」
サイボウズ株式会社の「kintone」は、必要な業務アプリを組み合わせて自社に最適化したツールを構築できるプラットフォームです。「顧客管理」「案件管理」「見積もり作成」などの既存アプリを組み合わせるほか、自分で必要な項目を組み合わせてアプリを作成することも可能です。
営業の便利ツールを選ぶときのポイント
ここまで紹介してきたように、営業に活用できる便利なツールはさまざまな種類があるため、どのツールを使えばよいのかわからないという人もいるのではないでしょうか。そこで、自社にとって最適なツールを選ぶポイントを紹介します。
目的・課題にマッチしているか
第一に、自社の営業の目的や課題にマッチしているかが重要です。
たとえば、営業スタイルがルートセールスの企業だと、「既存顧客が増えてきたから効率的に回りたい」「顧客の好みや課題を理解して、別の商品も売り込んでいきたい」といった課題が多いでしょう。そのため、新規獲得に強みのあるMAよりも、営業プロセスを管理できるSFAや顧客との関係性を管理できるCRMのほうが適しています。
まずは、自社の現状を洗い出してみて、「なぜツールが必要なのか」「ツールで解決したい課題は何か」という内容を深掘りしてみると、適切なツールがどれなのか判断できるはずです。
現場が使いやすいか
せっかくツールを導入しても、現場が活用してくれなければ意味がありません。営業現場にとって使いやすいインターフェースで、無理なく使いこなせるツールを選びましょう。
パソコン上のインターフェースだけでなく、スマートフォンにも対応しているかという点も重要です。営業担当者は外出が多い人もいるため、出先で利用できるツールのほうが便利です。
また、外部ツールと連携してデータを自動で同期できるという点も、営業担当者にとって嬉しいポイントとなるでしょう。
サポート体制が整っているか
サポート体制が整っているツールだと、安心して導入できます。導入スケジュールの設計や、社内への使い方説明、社内から寄せられる問い合わせへの対応などを行ってくれるため、導入がスムーズです。
導入後も、担当者ごとの利用状況を分析して活用促進をサポートしてくれると、社内に定着しやすいでしょう。
まとめ
営業活動では、商談や顧客対応のほかにも膨大な業務が発生します。便利な営業ツールを活用して効率よく業務を回し、商談や顧客対応に充てる時間を確保することで、受注率やリピート率の向上にもつながるでしょう。
今回は、MAやSFA、CRMなどの営業に活用できるツールを紹介しました。どれも特徴が異なるため、それぞれの機能や活用シーンを理解して選定するのが大きなポイントです。
また、本記事で紹介したツールのほかにも営業ツールは多様な種類があります。まずは自社の現状や課題を把握したうえで、どのようなツールが必要なのか見極め、自社にとって価値のあるツールを導入しましょう。