チーム戦で勝ち抜くには? 営業企画の本来の役割
──今、営業職に期待されている役割の変化について、お考えをお聞かせください。
山中(パナソニック コネクト) ビジネスの変化にともない、営業も、それを支える役割として変化していくことが求められます。当社は長年プロダクト中心で営業を行ってきましたが、機能×価格の勝負はコモディティ化してしまい、収益力が低くなるんですね。そこで、収益性とお客様との関係強化を目指し、数年前からソリューションビジネスへとシフトしています。
つまり、当社が営業に期待している変化は「ソリューションビジネスを売れる営業になる」こと。ソリューション営業ではお客様の課題を理解して仮説を設定し、解決策を提案する「先手を打つ営業スタイル」が重要です。これを実現しようとすると、お客様サイドのさまざまなステークホルダーに話を聞くなど、営業ひとりでは対応しきれないことが増えていきますね。そこで、営業活動を個人戦から「デジタルを駆使したチーム戦」へと移行する必要が生じます。
どの営業組織にも必ず1~2割の優秀層が生まれますが、そこで差はつきません。チーム戦で勝ち抜くには、残りの8~9割のパフォーマンスをいかに仕組みによって最大化するかが鍵になります。
田口(ユーザベース) チーム戦で勝ち抜くには、営業と周辺組織の連携も重要ですね。たとえば、営業は売上獲得に責任を持ち、営業企画は顧客のマーケット状況を把握して中長期的な戦略を立案する。そうした連携を実践できている組織は少ないと感じます。
山中 本来、営業企画には「営業のパフォーマンスを最大化するインフラ整備」が求められています。外資企業と比べて、日本企業の営業企画は「サポート」の役割に留まっている印象ですね。
──少しお話も出ましたが、今の営業組織が抱えている課題をどのようにとらえていますか。
田口 営業プロセスを標準化することが苦手な組織が多いと感じます。営業は人間力で成果を出せてしまう側面がありますが、これでは再現性がありませんね。また、マネジメントも個人の感覚に依存しがちで「部長が変わった途端、今まで良いと言われていたものがダメになった」というケースはよく聞きます。
山中 たとえば会計業務では、標準化された業務プロセスと、それを実行するITが必要だという意識が醸成されています。一方、営業はSFAがなくても商談できますよね。こうした業務の性質に加えて、組織を牽引する優秀層が「自分はITがなくても成果を出せた」というマインドだと、標準化は進みません。しかし、パイプラインのステージ管理など、標準化できるところは必ずあるはず。そこを変えるだけでも、営業活動に与えるインパクトは大きいと思います。
田口 優秀層は「自分が売って、組織を牽引するのだ」という意識が強いですが、すべてのメンバーがそのやり方を真似できるわけではないですよね。かと言って、マネージャーが部下に案件ごとの動き方を細かく指示して、マネージャーのコピーをつくるような育成では、組織はスケールしません。マネジメントにおけるベストプラクティスもあるはずで、その標準化も重要だと思います。
山中 そうですね。営業プロセスの標準化とチェンジマネジメントがなにより大事で、ここを営業企画が整えていく必要があります。