100は、スウェーデンに本社を置くビークルムーバー専業メーカー、ストリンゴのHubSpot導入事例を公開した。

導入の背景
ストリンゴは、車両を安全かつ効率的に移動させる専用機器「ビークルムーバー」の開発・販売を行うグローバル企業。本社の方針により、営業活動と商談情報の一元管理を目的としてHubSpotを導入していた。しかし、日本法人では次のような運用上のギャップが明らかになった。
- 欧米仕様の見積書レイアウトが日本の取引慣行に合わず、現場での運用が進まない
- グローバル標準の案件ステージ設計が、日本市場の商流や意思決定プロセスと乖離
- 情報の入力・活用が難しく、現場ではスプレッドシート運用が継続されていた
結果として、営業活動の可視化が進まず、HubSpot自体に対する心理的なハードルが残った。導入済みのツールが十分に活用されていないという状況は、グローバル企業がローカル拠点で直面しやすい典型的な課題である。
日本法人での取り組み内容
ストリンゴでは、HubSpotを日常業務で活用するため、日本の商習慣や営業プロセスに合わせた再構築を進めた。導入済みのグローバルテンプレートは、日本市場の実情とは合わない部分が多く、とくに見積書発行や案件管理といった業務面で支障が出ていた。そこで、業務フローに即したHubSpot設計の見直しを行った。
主な取り組み内容は次のとおり。
- 日本の商流(代理店経由・直販・相見積もり)に対応した商談ステージの再設計
- グローバル標準の見積書ツールに代わり、国産の「board」を導入し、HubSpotと連携
- 相見積もり案件の重複を避けるため、HubSpot上に独自のタグを設け、案件の起点を明確にする分類ルールを導入
とくに日本市場では、複数の代理店が同一顧客に対して見積もりを提出するケースも多く、案件情報が重複する傾向がある。これに対応するためのタグ分類ルールを導入し、案件ごとの位置づけを明確に管理。パイプラインの整合性を保つとともに、本社と日本支社の間で数値認識を一致させることが可能になった。

こうした再設計により、現場で実務に即して活用できるCRM基盤が整備され、業務定着と情報の信頼性向上が両立されている。