freeeが今、AI活用に注力する理由とは?
「非商談時間の削減」への徹底的なこだわり
──非常に参考になるアドバイスですね。セールス・イネーブルメントの一環として、営業育成にAIを活用しているともうかがっておりますが、具体的にどのように活用されているのですか。
前提として、我々は社内のあらゆる業務においてAI活用を積極的に進めています。「マジ価値を届けきる」というカルチャーを実現するには「非商談時間を限りなくゼロに近づけ、お客様との会話時間をいかに増やせるか」が重要であり、そのためにはAIによる業務効率化・生産性向上がキーになります。たとえば提案書・議事録の作成、CRMへの情報入力、そして育成業務などの「非商談時間」は、できる限り減らす。これが我々の重要なミッションのひとつです。
そこで、営業育成においては、Zoomが提供するAI機能を搭載した会話型インテリジェンスソフトウエア「Zoom Revenue Accelerator」を導入しました。導入にあたって重視した条件は「freeeのビジョンやカルチャーの実現にどれだけ近づけられるか」という点でした。非商談時間の削減や営業育成の効率化という観点で言うと、プラットフォーム側には圧倒的かつ継続的な開発投資が求められます。高い技術力と強力な基盤を持ったZoomであればこれを実現できると信じて、導入を決めました。
──Zoom Revenue Acceleratorの活用方法や導入後の効果について教えてください。
現在、営業チームや顧客サポートチームで数百名規模、データ分析担当で数十名規模のスタッフが利用しています。
導入後の効果は大きく3つあります。まずひとつめとして、文字起こしされたデータがSalesforceに自動連携されることで、非商談時間の圧縮につながっています。これは、商談後のメモ、議事録作成、アフターコールワーク全般、商談の引き継ぎやネクストアクション作成などの業務において、省力化を実現しています。
ふたつめは、営業の活動状況を可視化できるようになったことで、活動量や業績の中央値が改善してきていることです。「商談中の営業担当者の発話時間が長い」「インサイドセールスが午前中に電話をしていない」などの事実が数字で確認できるため、ファクトベースでフィードバックしやすい環境がつくれています。
3つめとして、文字起こし機能によって会話データを確認できるようになり、営業トークの構造や成果が出やすいトークの方法が視認化されたのも大きなポイントです。お客様がよく使うキーワードが抽出されるほか、ハイパフォーマーとそうでない人の言葉遣いの違いなども可視化され、新人の教育に役立っています。また、理由がわからず伸び悩んでいたメンバーに対しても、Zoom Revenue Acceleratorが起爆剤として機能してくれています。
「ひとつのプラットフォーム」が、スムーズな組織連携とコストダウンを実現
それから少し別の観点で、Zoomのコミュニケーションプラットフォームによって、ツールを統合化できたことも大きかったですね。
Zoomのプラットフォームを全社導入する以前は、さまざまなツールが社内に分散していました。電話システム、ビデオ会議システム、CRM、日程調整ツール、文字起こしツール……など、ボトムアップ的なアプローチで、個々人が使いやすいものを使っていたのです。
生産性を上げようとするのは良いことですが、組織の規模が大きくなるにつれて、分断や非効率の問題は顕著になり、結果として非商談業務の工数がかさむ状況に陥りました。さらにコストも割高になってしまっていました。
そこで、課題解決のために統合プラットフォームへの移行を決めて、Zoomを全社導入したわけです。導入によって、コストダウンはもちろん、これまでセールスチームで閉じていたデータをほかの部署にも横断的に連携できるようになり、組織全体のやりとりがスムーズになっています。また現場からも「ツールが統一化されたことで簡素化され使いやすくなった」という声が挙がっています。