「よくある商談」 その裏側では……
セッション冒頭において、次のアニメーションが投影された。
アニメーション概要
従業員5,000名規模の素材メーカーであるトライツマテリアルの営業企画部門 部長 吉田氏は、営業部門におけるデータ活用に課題を感じていた。メルマガを通じてデータ活用システム「データアルム」に関心を持ち問い合わせたところ、開発元であるデータソリューションの営業担当 佐藤氏から連絡があり、商談することになった。
佐藤(データソリューション) データアルムに関心があるということは、データ活用に課題があるということですか。
吉田(トライツマテリアル) そうです。弊社のやりたいことができるか知りたいので、他社事例なども含めて勉強させてください。
佐藤 ではデータアルムについてご紹介します(中略)以上のように、1ユーザー1,000円から利用できます。現在トライアルキャンペーン中で10ユーザーまで1ヵ月無料ですから、まずは試してみませんか。
吉田 無料なんですね……。まだ情報収集中のため、実際に使うのは少し先ですね。
佐藤 そうですか。ちなみに、開始予定時期やご予算はいかがでしょうか。
吉田 それもこれからです。社内に検討チームを立ち上げて、情報を集めている段階なんです。ただ、ホームページだけでは十分な情報が得られないため、こうして直接お話させていただきました。ちなみに、連携できるシステムはリストの中にあったものだけですか。
佐藤 はい、そうですね。
吉田 わかりました、今日はありがとうございました。
佐藤 ご要望があればいつでもご連絡ください。ご案内したトライアルキャンペーンは来月末までですから、お早めに結論を出していただけると助かります。
「よくある商談風景。そう感じたのではないでしょうか」と角川氏。しかし実は、吉田部長は3ヵ年計画の目玉プロジェクトとしてデータ活用システム導入を進めており、競合X社のサイトからシステム選定のガイドブックと活用事例を入手していた。X社との商談では取り組みの計画書も作成して検討が進む中、「データアルム」の実績やデータ連携機能の詳細も聞いてみようと考えて問い合わせたのだ。
「顧客の質問にただ答えるだけでは、顧客のことは何もわからないのが実態です」と角川氏。この商談の問題点を4つに整理した。ひとつが、顧客の現状や今後どうしたいかが何もわかっていないこと。次に、自社の営業プロセスに従った結果、キャンペーンの売り込みに終始していること。3つめが、BANTC情報を聞く一方、検討チームを立ち上げた背景を具体的に聞こうとしていないこと。4つめが、すでに検討を進めている顧客に対して完全に出遅れていることだ。
SFAを導入して営業活動の把握に努める企業は増えているが、「それで『営業DX』と言えるでしょうか」と角川氏は疑問を呈する。顧客の購買プロセスに合っていない従来の営業活動では、どれだけ力を尽くしても営業生産性は上がらない。
「これからは営業とマーケティング部門が連携し、顧客が購買プロセスを進めていくうえで常に役立つ存在になること、そして顧客の現状を常に把握することが非常に重要になります」(角川氏)