「売って終わり」からの変革 課題はこれまでの営業プロセス
パイオニアのモビリティサービスカンパニーは、モノ×コトで実現するモビリティ領域に向けたサービスの企画・開発・販売を行っている。具体的には、カーナビゲーション・ドライブレコーダーから取得したプローブデータを活用した保険向け、事業者向けのテレマティクスサービスや、ルートテクノロジーなどのAPIサービスの提供だ。
同カンパニーにおいて、松山氏は営業の直販部門の責任者として、津村氏は直販部門のSMBチームのマネージャーとして、営業組織にコミットしてきた。その中でさまざまな課題にぶつかったという。
そのひとつが、「サービスビジネスの営業プロセスが確立できていなかったこと」(津村氏)。モノを売る事業で成長してきた同社では、売ったら終わりの「モノ売り」型の営業が中心だった。
「リードを生成し、中長期的にお客様と関係を築きながらパイプラインをマネジメントするというサービスビジネスとしての営業プロセスが醸成されていなかったのです」(津村氏)
その結果、案件のリスクやBANTやMEDDICの観点からとるべきアクションが明確にできておらず、フォーキャストがずれてしまう状況が発生するなど、必要に応じて案件の創出やナーチャリングを営業主体で行う意識が薄かった。
また、営業目標設定や営業管理にも課題があった。「課ごとの売上目標はあったが、個人単位での売上目標設定はなかった。従って、売上の金額目標とそれに対する活動をマネジメントする習慣があまりなく、売上達成への意識も弱かった」と松山氏。マネジメントしていく中では、案件受注確度の読みがメンバーの主観に依存し、バラツキがあったのも正確なフォーキャストの観点で課題だった。
そこで津村氏は、営業メンバーが目標との差分をダッシュボードで認識し、各自リカバリー施策を考えて実行できる状態を目指したいと考えた。さらに、適切なパイプラインレビューでフォーキャストの正確性を高めることを目標に、Xactly Forecastingを導入した。
Xactlyの採用理由 担当の見込みとのギャップも明らかに
先述の課題に対処する第一歩が、売上達成までの道筋を可視化することだった。同カンパニーでは案件管理にSalesforceを使っているが、それだけで案件の変化やメンバーごとの実績を管理するのは、仕組み上難しかったという。中には30件もの進行案件を持つメンバーもおり、適切な優先順位づけや、とるべきアクションの判断に苦心していた。
Xactly Forecastingの採用に至ったのは、まさにこれらの課題を一度に解決できるためだ。フォーカスするべき案件がひと目でわかり、いつの間にか「失注している」「受注予定日が後ろ倒しになっている」「金額が変わっている」という変化も漏れなく掴み、パイプライン全体を俯瞰しながら常に進捗を的確に把握できるのがXactlyのメリットである。
また、Xactlyが会計システムと連携してデータ突合できる点も評価された。同カンパニーでは、サブスクリプション型で継続的に発生する収益も多く、それらのデータは会計システムで管理していたため、全体の予実管理のためには、Salesforce上の案件データと会計システムのデータを突き合わせる必要があった。その点をXactlyというインターフェースで一元的に管理できるようになった。
そして、使いやすさも決め手のひとつだった。「Salesforceとシームレスに連携するので、情報を二重に入力する必要がなく、従来の運用から大きく変わらないことが良かった」と津村氏。Salesforceの定着に苦労した経験があったため、なるべく現場の手間を減らす方向で考えていたという。
とはいえ、導入にあたっては事前の準備が重要だ。そこで同カンパニーではまず、案件の各ステージにおいてもとるべきアクションガイドラインを整理した。一般的な指標としてのBANT情報やMEDDIC情報をベースに、パイオニアの商材に必要な要素を加えて作成。その指標をXactlyに落とし込み、それらを実行しないとXactlyのスコアリングも上がらない仕組みになっている。
松山氏は「『これで受注できる』と営業が見込んでいても、実際にはスコアリングとギャップがある、というケースも明らかになる」と説明する。
定性・定量の両面で効果 工数削減、文化の変化も
では、実際にどのような数値をマネジメントできるようになったのか。2023年4月にXactlyを導入して以来、同カンパニーでは主に売上金額と契約件数、さらに案件のパイプラインの状況を可視化している。
売上のフォーキャスティングについては、案件の数と金額に加え、パイプラインの状況と確度をスコアリングして、それらから総合的に算出している。単に、パイプライン総量から、平均受注率を乗じて見積もるだけでは、フォーキャストがズレる可能性があるからだ。案件ごとの確度を踏まえて算出されたフォーキャストをもとに、目標からの真の不足を捉え、リカバリーのプランを立てるようになったという。
その結果、定性的な成果として、組織の文化に変化が見えた。「なぜXactlyを導入するのか、活用して何を目指すのか。導入前からメンバーとコミュニケーションをとったことで、今まで抜け落ちていた視点に気がついた」と津村氏。営業メンバー1人ひとりが、KPIの先にある売上達成をゴールとして意識できるようになったのだ。
管理工数が削減されたことも、定量的な大きな成果だ。以前は課ごとの数字をマネージャーが管理していた。週次でSalesforceからデータを引っ張り、Excelを作成する作業に2~3時間かかっていたのだ。だがそれが、Xactlyでダッシュボードを開くだけで良くなり、作業負担は半分以下に削減された。
もちろん、現場のメンバーもメリットを享受している。営業メンバーは個人で目算を立てずとも、Salesforceさえしっかり更新していれば、Xactlyのスコアリングが確度の高低を明らかにしてくれる。松山氏曰く「マネージャーからあれこれ指摘される前に自分で気がつくようになる」という。
同カンパニーでは、すでに改善の実感を掴んでいるが、Xactlyの活用を継続することでさらなる効果も見込めそうだ。「データをスナップショットではなく、時系列でみられることがXactly Forecastingの強みのひとつだと思うので、さまざまな角度からグラフ・表で表現して、より分析しやすくする」と今後の展開に期待をのぞかせる。
ツールをきっかけに進化する営業組織
パイオニア モビリティサービスカンパニーの営業は「まさに今、モノ売りからソリューション営業へ進化すべき状況」だと津村氏。メンバーがXactlyのダッシュボードをチェックし、リカバリープランを立てるようになったのは大きな成長だが、「さらにツールを使いこなして、与えられたダッシュボードだけでなく、自らダッシュボードを作成し、自身の足りない点を分析して改善していく、主体的かつデータドリブンに活動していく文化を醸成したい」と話す。
現在、津村氏のほかにも各チームにツール推進のメンバーを置く体制を検討中だという。松山氏も「営業1人ひとりがデータドリブンに物事を推進できるのは非常に重要なこと。津村のようなメンバーは営業組織を革新するうえで欠かせない」と話し、Xactlyをきっかけに最新テクノロジー活用の文化が広がることを期待している。
最後に、営業現場でのツール活用・定着に課題を抱える営業リーダーに向けて、両氏からアドバイスをもらった。
「良いツールを導入しても現場で活用されないのには、何かしら理由があります。ツールの目的や意義をきちんと理解してもらい、現場に負荷がない運用設計をすることが、定着やその先の成果を出すために重要です」(津村氏)
「ツールは何かを助けるものでしかないので、ツールありきで物事を話さないこと。また、リーダーだけがやろうと言っても浸透しません。現場での小さな成功体験をメンバー自身の口から共有していく環境があれば、定着は進んでいくはずです」(松山氏)
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