“顧客の成功”を軸に、営業プロセスの変革を
カスタマーサクセスの仕事は時に登山にたとえられると高橋氏は語る。顧客を導くゴール地点(山頂)を定め、そのゴールまでのプロセスを伴走する仕事だからだ。
カスタマーサクセス=顧客の成功を重視しない人はいない。ところが、カスタマーサクセス担当と営業担当の間には軋轢が生じてしまうケースがある。「営業担当が提案した内容を実現しようとすると、顧客が苦労しそう」「目標達成に追われ、顧客の成功まで手が回らない」など、それぞれ抱える悩みが違うことが要因だという。
「カスタマーサクセス担当だけでなく、営業担当も顧客の成功を目指した活動をすることで、軋轢は解消できる」(高橋氏)という考えのもと、カスタマーサクセスの考え方にもとづいて営業プロセスを変える5つのステップが紹介された。
受注後の解像度を高め、目的のずれを解消
ステップ1:受注後ジャーニーの解像度を高めよう
ひとつめのステップは、受注後の顧客に対する解像度を高めることだ。マーケティング担当・営業担当は受注をゴールに設定するケースが多い。しかし、顧客にとってのゴールは、目的を達成して“サクセス”に至ることである。目的のずれを解消するためには、営業担当者であっても、受注からサクセスに至る顧客の「受注後ジャーニー」を理解すべきだと高橋氏は語る。受注後ジャーニーの解像度を上げる3つの方法が紹介された。
1_1 カスタマージャーニーの設計
受注からサクセスに至るまでのカスタマージャーニーを描いて顧客の思考・行動をイメージすることで、顧客視点で施策やコンテンツを設計し、各プロセスにおいて最適な提案が可能になる。また、施策の意図や目的をマーケティング・営業・カスタマーサクセス・プロダクトといった関係者全員で共有・可視化することで、部門間の目的共有や調整も可能になる。
1_2 継続・解約分析
多くの場合、営業担当は「受注・失注分析」に注力する。しかし受注・失注分析では、顧客が対象サービスに期待しているかどうか、しかわからない。「サービスの継続・解約分析」を実施することで、自社サービスが顧客を成功へ導いているかどうかを明らかにできる。
1_3 既存顧客インタビュー
受注後の顧客に対する解像度を高めるためには、実際にサービスを活用している顧客の声を聞くことが重要だと高橋氏は語る。実際にサービスを活用している「活用顧客」、サービスを活用できていない「未活用顧客」、サービスを解約してしまった「解約顧客」それぞれの視点から話を聞くことで、さまざまな示唆が得られる。
「解約顧客のインタビューでは、かなり辛辣な意見も出てきます。そこから学びを得て、サービスや営業プロセスにおける顧客とのコミュニケーションをどのように改善するか考えられると良いと思います」(高橋氏)