業績に19%の差 コーチングの質が営業成果を左右する
第3回では、オンボーディングから独り立ち後の「営業トレーニング」について解説しました。今回は「営業コーチング」に焦点をあてて解説します。
営業パーソンの成長プロセスである「学習・記憶・練習・適用・熟達」のうち、とくに「適用・熟達」のフェーズでは、たんなる知識やスキルのインプットだけでなく、実際の商談での応用力や状況対応力、さらには営業活動全体のプロジェクトマネジメントなど多くのことが求められます。
実際の商談やプロジェクトに取り組む中でマネージャーがコーチングやフィードバックを行うことは、業績にも大きな影響を与えます。CEB社(現:ガートナー)が実施した調査でも、次のような結果が出ています。
- 営業パーソンの業績は、コーチングの質によって19%も差が出る
- 優れたコーチングは、ハイパフォーマーの組織定着率を高める
この結果は、営業チームのパフォーマンス向上や定着における効果的なコーチング方法の重要性を示しています。
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しかし、営業マネージャーからメンバーへのコーチングについて悩んでいる組織は少なくありません。その理由として、次のふたつが挙げられます。
課題1.コーチングのために時間を使えていない
営業マネジメントにおけるいちばんの課題は、営業コーチングの時間を十分に確保できないことです。効果的な営業コーチングは組織のパフォーマンス向上に不可欠であり、営業マネージャーが意識的に1対1でのコーチング時間を確保することが求められます。 Hubspotの調査によれば、効果的な営業コーチングプログラムを導入している企業のうち、61.4%が担当者ひとりあたり週1時間以上のコーチング時間を確保しています。
課題2.コーチングのやり方がわからない
多くの営業マネージャーはコーチングを開始する際、具体的な指導方法や効果的なフィードバックの提供方法に自信がありません。この課題を克服するためには、コーチングの目的と手法を明確に理解し、実践的なスキルを身につけることが重要です。
次のページでは、これらの課題を解決し、営業コーチングの質を高める方法を解説します。