「セールスイネーブルメント」の定義とは?
宮田(SalesZine編集部) 大手企業が本気で取り組み始めた「セールスイネーブルメント」。営業組織を強くする手法として広がりを見せていますが、まずは各社で役割をどのように定義しているのか教えてください。
高木(日本通運) 当社では「全員が楽に楽しく営業ができる!」を合言葉に、「楽楽(らくたの)を実現する組織」と位置づけています。これまで、ターゲット選定から顧客との商談、受注までの過程で営業担当者が仕事を属人的に抱えることで孤独感が生じ、組織としての成果を最大化しづらいという現状がありました。そこで「組織として継続的に営業成果を創出するための、人財育成を含めた広範な取り組み」をセールスイネーブルメントの定義として言語化し、2023年から取り組んでいます。

高木 背景にあるのは、サプライチェーンを取り巻く環境の変化です。コロナ禍によって、物流業者の事業環境が大きく変わったほか、サステナビリティや環境・人権などの社会的背景を加味していく必要に迫られています。お客様の事業環境も大きく変わっているため、常にアップデートしながら、物流の価値を提供するべきだと考えています。

2007年入社。海運部門にて新規営業やカスタマーサービス業務をメインに担当。2021年より営業企画・業務改善部門へ異動し営業ツールの九州地区における推進メンバーとして利用定着を図る。2023年よりセールスイネーブルメント部発足とともに同部へ着任、営業が出来るようになる組織・人作りを目指し営業変革に取組む。2024年からは、ナレッジに特化した「ナレッジセンター」の立ち上げに携わり、営業パーソンが必要なナレッジを必要な時に届けること、社内ナレッジの共有化に取組んでいる。
中田 LINEヤフーでは、主にふたつ。新たに入る社員が、「組織の期待する成果」を出せる状態にすること。これをスタートとしてチームが結成されました。もうひとつは、営業目標達成率を向上させるための、「実践レベルでの仕組みづくり」です。

中田 最初はイネーブルメントを担うメンバーがふたりでしたので、新卒・中途社員に対しての研修で精一杯でしたが、現場の営業とマネージャーの人数が増えてきたときに、OJTの質のバラつきが課題として浮き彫りに。そのためふたつめの狙いである実戦レベルで備わる仕組みづくりを強化しようと、2019年にセールスイネーブルメントという言葉を使って、チームの役割をアップデートさせてきました。

2004年にヤフー株式会社に入社し、法人営業領域を担当。その後、部門人事、組織開発チームに異動し、人材開発、ES改善を担当する。現在は、エデュケーションチームリーダーとして、中途社員採用、中途者向け入社研修、インターンシップ企画立案及び実行、新卒1年目研修、新卒2年目研修、新任管理職向け研修、メンバー・管理職向け育成アセスメントの設計と人事制度連携に取り組む。