セールス・イネーブルメントに必要な5つのエッセンス
セールス・イネーブルメントの定義にはばらつきがあるとしたうえで徳田氏は、「セールスDX(データ可視化・データ利活用)をベースにした成果直結を重視する一連の組織能力向上施策」であると解釈する。つまり「売上」や「ひとりあたりの生産性」などの「営業の状態」を示すデータを収集・分析し、成果に直結させるための施策を打っていくという仕組みだ。
このセールス・イネーブルメントの実現に欠かせないのが「統合された」組織能力向上施策であると徳田氏は言う。
「データソースを見て施策を打っている組織は多いものの、若干サイロ型になっており、それぞれの領域が交わることなく施策を打っているケースが多いのではないでしょうか。それをセールス・イネーブルメントというかたちでひとつに括り、1ヵ所にデータソースを集めたところで戦略を立て、そこから施策を分けていく。そういった考え方がセールス・イネーブルメントには必要です」(徳田氏)
さらに徳田氏はセールス・イネーブルメントを実行するための基本エッセンスとして5つを挙げた。
まず「(1) データ収集」でデータを集め、「(2)ナレッジ化と戦略策定」でデータをもとに分析し、戦略を立てていく。「(3)ナレッジマネジメント」では、ナレッジを分析した結果や集めたデータを使い展開していく。「(4)トレーニング」では、ナレッジをもとに研修などを進め、最後の「(5)インサイト」では、営業の現場に示唆を出していく。そして、「(+1)カルチャー」とは、文化醸成やイネーブルメント組織が市民権を得るための活動だ。これらのエッセンスを細分化しすごろく状に並べると次の図のようになる。
NTTコミュニケーションズはセールス・イネーブルメント立ち上げから約5年間、どのようにしてこれらの施策に取り組んできたのか。次のページからその変遷を振り返ろう。