「言葉」で人を動かす営業職として100社300製品を担当
――もともと今井さんは学生時代から営業職を希望されていたのでしょうか。実際にお仕事に就かれてみて、従来のイメージと変わったことなどはありますか。
実は学生時代は俳優業を志していて、どこかに就職することはまったく考えていなかったんです。まして営業職については、通勤列車で疲弊しながら通勤し、ノルマに追われながら足を棒にして売りにいっているというようなイメージを持っていて……。正直、あまりかっこいい仕事だと思っていなかったんです。
しかし、23歳までに俳優として大成しなければ他の仕事に就こうと考えていたので、22歳になった頃から徐々に新しいキャリアとして営業職を意識するようになりました。そのきっかけになったのが、同世代で営業職に就いている人と出会い、生き方について話したことです。彼の時間に対する考え方は本当に刺激的で、時間を有効に活かすこと、限られた時間の中で最大限に成長したいと考えていることなどを熱く語ってくれました。そんな彼が成長できる仕事として選んだのが営業職だというのです。その颯爽とした生き方に、「同年代でこんなにすごい人がいるんだ。営業職って実はかっこいい仕事なんだ」と興味を持つようになりました。
考えてみれば、もともと自分は俳優業として、言葉で人の心を動かしたいと思っていました。営業職も同じだろうと。人間の一番の発明と言われる「言葉」を使って、相手の価値観や行動まで変えてしまうような、そんな影響力を持っているすごい仕事だと改めて気づいたのです。
セレブリックスはそんな私にぴったりな会社でした。営業職のあり方のひとつとして、商品やサービスに惚れ込み、それを広く伝えていきたいと考えるタイプもいるでしょう。私の場合は、営業という仕事そのものに関心があったので、さまざまな製品やサービスの営業支援ができ、さらに営業活動を通じて事業全体に影響を与えられるというのは魅力的でした。さらにプロの営業職が集うチームで切磋琢磨できれば、成長もできると考えたわけです。それが2008年のことでした。
――入社されてからは、実際にどのようなお仕事をされていたのですか。
はじめは、営業代行のプロジェクトメンバーとして顧客企業の名刺をもって活動しました。最初に担当したのはセキュリティシステムの会社で、プロダクトが新興で実績が少ないというのが弱みでした。内部の方が1年間営業されたものの1件も成約に結びつかず、かなり苦労されていたのです。技術的に非常に優れたものだったのですがターゲットが定まらず、営業活動で強みが伝わっていないように思われました。そこで商品特性を活かした新しい使い方を策定し、既存のターゲットとは異なる業界に提案していったのです。業界紙などにも取り上げられ、大いに注目されました。
その後、担当してきたプロジェクトは100社分、商品の種類は300を越えます。顧客企業の種類もさまざまで、BtoBもBtoCもありました。ここまでいろいろな会社、さまざまな製品を取り扱ってくると、サービスについて聞いたり見たりするだけで、どのくらいで最初のアポがとれるか、なんとなくわかってくるんですよね。それは他の営業担当者もそうだと思います。そうした過去の経験から蓄積された属人的な知見を可視化して共有しようとしているのが、セレブリックスの「データドリブンセールス」です。