カスタマーサクセスを日本企業の成長エンジンに
──はじめに、絹村さんのキャリアについて教えてください。
新卒で日本ヒューレット・パッカードに入社し、大手法人のIT部門向けハードウェア営業を勤めたのち、キャリアの幅を広げるためEコマース事業へ異動しました。Eコマース事業では、限られたマーケティング予算や人員でより多くの顧客へ価値を提案するために、データ活用が必須です。ここで「データを正しく使うと、正しい意思決定によるリソース投資ができ、成長するビジネスモデルを実現できる」と気づきを得たことが、今につながっています。
データに基づく意思決定にビジネスの新たな可能性を実感したこのころ、Tableauに出会いました。私のような素人でもかんたんにデータを活用できるおもしろいツールを見つけたと、当時はかなり衝撃を受けましたね。この製品をもっと日本中へ広めていきたいと思い、Tableauへ入社したのです。
企業へのデータ活用支援を通して、日本でもデータドリブンな経営やデータ人材育成の動きが起きていることに可能性を感じました。一方で課題に思ったのは、データを行動変容につなげていくこと。データを活用して組織全体や人を動かすためには、ツールではないほかの要素が必要だと感じました。
──データ活用に可能性を感じていた絹村さんが、新しいチャレンジの場としてGainsightを選ばれた経緯と背景をうかがっても良いでしょうか。
ひとつは、会社としてカスタマーサクセスにコミットする文化をTableauとセールスフォース・ジャパンで経験したことです。営業やマーケティング、カスタマーサクセス全員が活動の軸にカスタマーサクセスを据えたうえでデータ活用を行う。これが企業の新しい成長エンジンになると体験したのは大きかったと思います。
もうひとつは、これは反省でもあるのですが、カスタマーサクセスを体現するうえで属人性から抜け出せなかったこと。これを解決するために学ぶなかで、『カスタマーサクセス──サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則』(英治出版)に深く共感したのがGainsightとの出会いです。そのGainsightが日本に進出すると聞き、「カスタマーサクセスが事業成長のキーである」という思いを実現できるプラットフォームとカルチャーを持つGainsightにチャレンジしました。