チャーンレート0.4%以下! カミナシCS、3つの特徴
高橋(HiCustomer) まずはおふたりのキャリアをかんたんに教えてください。
河内(カミナシ) インテリジェンスに入社後、グループ会社に転籍し、営業やプロダクトマネージャー、事業責任者としてSaaSに関わっていました。次にカヤックの子会社でBtoBtoCのウェブサービスのプロダクトマネージャーを担当し、カミナシに入社したのは2年ほど前です。プロダクトマーケティングマネージャーとして入社し、事業責任者を経て、現在はCOOを務めています。
宮城(カミナシ) 僕のキャリアはエンタープライズのセールスから始まり、freeeでミッドマーケット事業のマネージャーを務めました。その後CBcloudでSaaSの事業責任者を務め、2021年の3月にカミナシに入社。カスタマーサクセス組織を立ち上げ、現在は部長を務めています。
高橋 カミナシさんはカスタマーサクセスに力を入れている印象があります。おふたりはどのように関わっていらっしゃいますか。
河内 入社当時は僕含めさまざまなメンバーが兼務でカスタマーサクセスの仕組みや施策を考えていました。今は宮城にすべて引き継いで、僕はビジネスや組織全体を見つつ、カスタマーサクセスと連携しているかたちです。
宮城 僕はカスタマーサクセスの全体を見ています。カスタマーサクセス組織には約13名が所属しており、「オンボーディング」「リテンション」「エンタープライズ」「カスタマーサポート」と大きく4チームに分かれています。加えて、「セルフオンボーディングを考えるチーム」「コミュニティを考えるチーム」など施策ごとの特命チームもあります。2022年7月からはカスタマーセールスのチームも立ち上げる予定です。
高橋 カミナシさんはSaaSの中でも独特の特徴があるプロダクトですよね。
宮城 一般的なSaaSとの違いは大きく3つあります。ひとつは、初めてクラウドサービスを導入するお客様が多い点。プロジェクトチームの組成やマネジメントにも僕たちが伴走して、お客様が自走できるように支援します。オンボーディングの難易度はオフィスワーカー向けのSaaSと比べると高いと思いますが、いったん紙からデジタルに置き換えると戻りたくない組織は多いため、現在チャーンレート(解約率)は0.4%を割っています。
河内 オンボーディングでは、ノーコードツールの特性を活かしてお客様自身が帳票をつくって運用できる状態をゴールにしているのもポイントです。自走できればお客様自身がPDCAを回せるため、意外と手離れは良いですね。
宮城 ふたつめは、カミナシの管理者と利用する現場の人が異なること。特に、僕たちは現場の方には会わないことも多いため、現場を想像しながら業務設計を考えるのが難しいですね。3つめが、業界だけでなく関わる部署もさまざまな点です。たとえば、食品製造業なら品質管理、飲食店なら店舗を束ねるスーパーバイザーなど、多様な管理者の方がイメージしやすいように導入を進める必要があります。
効率化よりも再現性! お客様の成功体験を最優先に
高橋 対面する管理者の方と一緒に、その方も知らない部分がある現場のイメージを捉えていく必要があるんですね。仕組みづくりにおいて大事にしている考え方はありますか。
宮城 まず意識したのは「効率化よりも再現性」でした。お客様に成功体験をしてもらうためにも、オンボーディングに注力したい一方で、受注も増えてきたため、当初はテックタッチで効率化する案が出ていました。しかし、まずは成功の再現性をきちんと掴んだほうが良いと判断し、3ヵ月のオンボーディング期間でお客様と隔週で会話をするハイタッチに近い形式で取り組みました。お客様も現場の仕事があって忙しいですから、タッチポイントは意識的につくるようにしています。
高橋 「こうすればお客様が成功できる」という確信がないと、テックタッチのプロセスも描きづらいですよね。
宮城 今は少しずつセルフオンボーディングができる仕組みを構築中です。あとは、カミナシは毎日使われないと意味がありません。オンボーディング後も1~2ヵ月に1回のミーティングで、毎日の利用率のデータを共有し、指標を基に「こうしたら利用率を上げられそう」「何か課題はありますか」と話をします。継続的に打ち合わせをすることで、更新のご支援もむしろ進めやすくなりました。
高橋 その機会があることで、お客様もずっと使っていくイメージを持ち続けることができるんですね。