そもそも見積書って?
見積書とは、取引相手から正式に仕事を受ける前に発行する証憑(しょうひょう)です。見積書は、下記の役割があります。
- 取引相手に発注内容を伝える
- 認識の違いによるトラブルを防止する
- 発注の決意を促す
見積書を作成することで、数量や単価、支払条件などに関する認識のズレをなくせるため、後々「話した内容と違う!」「単価は○○円と言ったはずだ!」などといったトラブルを防止できます。 見積書や注文書、請求書などの証憑は、企業は原則7年間、課税対象ではない個人事業主は5年間の保存が義務付けられています。
まずは見積書を作成するために必要なものを用意しよう
見積書を作成するためには、一般的に下記のアイテムを揃える必要があります。
- 見積用紙
- 長形3号の封筒
- 切手
- 見積書在中スタンプ
見積用紙が手元にない場合はエクセルで作るのも手ですが、インターネットで「見積書 無料フォーマット」「見積書 テンプレート」などと検索すると、さまざまな様式の見積用紙がヒットするため、事業内容に合った見積書をダウンロードして使うと便利でしょう。用紙のサイズに決まりはありませんが、A4サイズが主流です。 A4サイズで作成した見積書は、三つ折りにして、長形3号の封筒に入れて郵送するのが一般的です。
見積書在中スタンプがない場合は手書きでもOKですが、見積書を郵送する機会が多いようであれば、購入しておくと今後の業務の手間を省けます。ただ、電子媒体で見積書を作成する場合、これらは全て不要です。
見積書の作り方を徹底解説!
見積書の作り方には決まりがあります。ここでは、見本を使って見積書の作り方を詳しく解説していきます。
(1)表題
表題は、なんの書類なのかがわかるよう、中央に大きく記載します。書き方は「見積書」「御見積書」「お見積書」などが一般的です。
(2)日付
日付の部分は、取引を行った日がわかるように、発行日または提出日の日付を年表記から記載します。日付があれば作成した側も日付で見積書の管理ができますし、取引先も発注の問い合わせの際に「○月○日のお見積書の件ですが~」と伝えやすくなり、コミュニケーションがスムーズに運ぶでしょう。
(3)見積書ナンバー
見積書ナンバーは必ずしも必要ではありませんが、見積書を作成する機会の多い会社や個人の場合、記載したほうが管理しやすくなります。
(4)宛先
宛名は、取引先の会社名や屋号を記載します。取引先が大きい会社の場合は、担当者の部署名や名前まで書きましょう。敬称は、会社名なら「御中」、個人名なら「様」です。
(5)件名
件名は、ぱっと見て何の見積書か分かるように記載します。たとえばライターの場合は「○○案件の記事執筆」「HPコピーのリライト」などと書くと分かりやすいでしょう。
(6)有効期限
有効期限を記載しておくと、価格変動のよる損失や時間が経ってからの申込みによるトラブルを回避できます。
(7)発行者
見積書を作成した側の会社名、名前、住所を記載します。電話番号やメールアドレスなども記載しておくと、見積書を見た取引先がすぐに連絡できるため親切です。
(8)印鑑
見積書に印鑑は必須ではありませんが、会社と会社の取引の場合は社印を押すのが基本です。
(9)見積もり金額
合計金額を税込みで、他の文字より若干大きめにして見やすく記載します。見積もり金額と(17)の合計金額が合っているか、きちんと確認しましょう。
(10)商品番号・商品名
商品番号や商品名、サービス内容などを取引先にわかりやすいよう記載します。たとえばサイト構築の場合は、「デザイン」「コーディング」などと作業を分けて記載すると後々のトラブル防止にもなるでしょう。
(11)数量
商品の数量を記載します。数量を書くのが難しい案件の場合は、(12)の単位と合わせて一式と記載しましょう。一式とは「ひとまとめ」といった意味合いがあります。
(12)単位
商品の単位を記載します。
(13)単価
商品一つあたりの金額を記載します。
(14)金額
数量×単価の合計を記載します。
(15)小計
商品の合計金額を税抜で記載します。
(16)消費税
小計にかかる消費税額を記載します。軽減税率対象の商品がある場合は、8%や10%など税率ごとに分けて記載しなくてはいけません。
(17)合計金額
商品の合計金額を税込みで記載します。(9)の見積もり金額と金額が一致しているか確認しましょう。
(18)備考
備考には、特筆すべき事項があれば記載します。たとえば、納期や前提条件、振込手数料の負担などを記載しておくと、取引先との誤解が生じにくくなります。
ちなみに、振込手数料をどちらが負担するかですが、民法第485条により「弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする」とされているため、振込手数料は発注者側が負担するのが一般的です。
見積書の作り方:注意するポイント
見積書を作成するときは、いくつかのポイントに注意しないと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。ここでは、見積書の作り方で注意すべき点を紹介していきます。
納期を記載する
納期は相手が発注先をきめるときの重要な判断材料となりますが、安易に設定した納期を記載して実際に納品できなかった場合、信用を落とすだけでなくトラブルにもなりかねません。見積書に記載する納期は、無理のない範囲で最短の納期を記載するのがポイントです。
通常は備考欄に「受注後1週間ほどで納品」「納品は受注後約3週間を予定しております」などと記載し、納品のために証明書を発行してもらう必要がある場合は「必要書類の受領後○週間以内に納品」と記載するといいでしょう。
見積書データを残しておく
見積書のデータは、原則7年間の保存が義務付けられています。契約が成立した見積書は保管義務期間が経過した後に破棄することもできますが、不成立になった見積書は顧客管理や今後の受注率アップのための勉強に使う資料として保存しておくのがおすすめです。
見積書の作り方を覚えて業務をスムーズに
見積書は、一度作り方を覚えてしまえば今後の書類作成業務がスムーズになります。最近では電子媒体のフォーマットを活用して見積書を作成できますが、その場合でもどこになにを書くかがわかっていないと、記載ミスをしてしまうことがあるため要注意です。 また、トラブルを引き起こさないよう、備考欄に余裕をもった納期を記載し、すべての見積書のデータを保管しておくといいでしょう。
見積書を作成する人は、今回紹介した見積書の作り方を参考にしてみてくださいね。