HubSpotの無料で使えるCRM機能
今回紹介するのは、無料で使える「HubSpot」(ハブスポット)のCRM機能だ。HubSpotをMA(マーケティングオートメーション)ツールというカテゴリで認識している方も多いかもしれないが、実は、HubSpotがカバーしている業務領域はかなり広い。CRM、MA、SFA(営業支援システム)の機能を網羅しているソリューションなのだ。今回は、無料で使える機能のうち、特に営業に役立つ5つにフォーカスしていきたい。
顧客情報を収集するための機能
1.フォーム
オンラインで顧客情報を収集するためのツールとして、お問い合わせや資料ダウンロードなどで使う「フォーム」がある。HubSpotでのフォームの作成は、いたって簡単。姓名、会社名、メールアドレス、電話番号など収集したい項目を、HubSpot上でドラッグ・アンド・ドロップするだけでフォームが完成する。HTMLやCSS、PHPなどの知識は不要だ。フォーム作成後、埋め込みコードが出力されるので、既存のウェブサイトにそのコードを設定すれば、作成完了となる。フォームから送信された顧客情報はそのままHubSpotのCRMへ自動登録され、その後の管理に利用できる。
さらに、ウェブサイトを閲覧中のユーザーに画面の下などからポップアップで問い合わせや資料ダウンロードをうながすポップアップフォームを作成することも可能だ。
顧客情報を管理するための機能
2.リード管理と企業情報
フォームから送信された情報は、HubSpot CRMの「コンタクト」に蓄積される。コンタクトには、自社で保有している顧客データをインポートすることもできる。後の運用を考えれば、すべての顧客データを一元管理したほうが効率的だ。
前回、CRMに外部で取得した企業データなどを付加することができることを紹介した。HubSpotの場合は、すでに全世界の2,000万社以上の企業情報のデータを利用できるようになっている。CRMに入っている顧客データを見れば、基本的な会社情報(ウェブサイトや従業員数など)が含まれた状態で閲覧できるので、リードの選別や商談時のアイスブレイクにおいても活用できる。
3.アクティビティフィード
HubSpotのコンタクトに入った情報は、アクティビティフィードと呼ばれる時系列のログが記録される。アクティビティフィードは、見込み客1人ひとりのウェブサイトの訪問履歴、メールの開封、リンクのクリックなどのオンラインでの行動に加えて、営業担当者がどのようなコミュニケーションをとったかも記録できる。
営業担当者ならアクティビティフィードを一度使えば、もう手放せないと感じるはずだ。例えば、相手がウェブサイトを訪問して、どのページを見ているのか、どの資料をダウンロードしたか、といった具体的な行動がログで記録されるだけでなく、リアルタイムでわかるからだ。見込み客がウェブサイトを見るなど、自社の製品やサービスに関心が高まっているその時にすぐに電話すれば、スムーズに話が進む可能性が高い。筆者の経験でも、アクセス状況を見て即座にフォローすると「ちょうど詳しく聞きたいと思ってました!」と非常に喜ばれる。もしかしたら、運命的なものさえ感じてもらえているかもしれない。
それに加えて、HubSpotではコンタクトの優先度を教えてくれる機能もある。これは、HubSpotがこれまで蓄積してきたデータなどから自動的に判断して受注可能性の高いコンタクトを示してくれるものだ。これにより、受注可能性の高い見込み客のフォローの漏れがなくなる。