人は急には成長しない リモート時代に持つべき「性善説」とは
2. 「仕事をしている」という性善説を持つ
テレワークでの勤務になり、「本人任せだと、仕事をしているのか不安になる」という声も頻繁に耳にします。しかし、仕事をサボりがちな人は、家にいてもオフィスにいても、関係なく気が緩みがちであるように思います。そのため、まずは「仕事をしている」と信じることから始めましょう。
個人的には、テレワーク下においては「サボり」と同じくらい、あるいはそれ以上に長時間労働の危険性も留意されるべきであると考えています。一例ですが、移動時間というオンとオフの切り替えの時間がなくなったり、夜中まで物理的に働くことができてしまうため、働きすぎるあまり、体調やメンタルを壊してしまうケースも少なくありません。マネージャーの方々は、労働時間のマネジメントにも着目したメンバーのケアが求められるでしょう。とくに新人は、経験の浅さをカバーしようと「とにかく頑張りを見せなければ」という意識から、がむしゃらに働き続けてしまう傾向もあります。
3. メンバーを褒めて、信頼関係を構築する
上司が想像する以上に、メンバーは上司のことを見ているものです。とくに、昨今のコロナ禍のような有事のときこそ、マネージャーのスタンスが見定められているように思います。オフィスに出社し、日々顔を合わせているのであれば、上司の表情や立ち居振る舞いから真摯さ・必死さが伝わりやすく、日々の何気ないコミュニケーションを通じて自身の想いを伝えたり、メンバーの悩みに寄り添ったりすることが可能ですが、オンラインでは難しいですよね。
こうしたテレワーク時代に上司が求められていることは、メンバーへの歩み寄りではないかと思っています。自宅で自律的な仕事を促すためには、「信頼関係を構築して、メンバーのやる気を生み出す」ことが重要なポイントです。 メンバーを観察し、チャットなどで「昨日の商談、よくできていたね」「連絡してくれた情報、非常に勉強になった」などと、「1日、1褒め」を心掛け、オフィスで働いていたとき以上の「メンバーを認める姿勢」を持ちましょう。
ポイント3:ほかのメンバーと新人のコミュニケーションの場をつくる
第1段階としては対新メンバーに限らず、情報をオープンにしたうえで、必要に応じて各チームのミッションや、インターフェイスとなるツールを整備する必要があると思っています。 そして、マネージャーに対してはもちろん、メンバー全員にそれらを使いこなせるITリテラシーを根付かせるような研修などを通じて、情報や知識をインプットしていきます。
また、チームワーク向上のためには、仕事以外のコミュニケーションを交わす場をつくることも重要です。オンライン下では、周囲に人がいないため、孤独感を感じやすくなります。入社したばかりで、自身の上司やチームメンバーがどのような性格で、どのような価値観を持っているのかがわからない場合はなおさらです。会社として、オンラインコミュニティをつくったり、オンラインイベントを定期的に開催したりすることで、孤独感を感じない、組織に馴染みやすい社風をつくり上げていきましょう。オンラインコミュニティの詳細については、こちらの記事もご参照ください。
新人に限らず、人は急には成長しません。日々コツコツと知識と経験を積み上げていくことが大切です。企業としても人の育成には魔法がないことを理解し、長期的な目標設定をしていきましょう。
事業のオンライン化、およびリモートワークの導入後であっても、「施策を根付かせるためには、トライアンドエラーを繰り返してしていく必要がある」「マネージャーは、メンバーを1人ひとり注視していく必要がある」というコミュニケーションの根っこの部分は、オフィスで出社していたときとなんら変わりはありません。今年は、「リモートワークで新人教育」という新たなチャレンジに取り組む企業が例年以上に多いと思います。本稿が、みなさまの組織を一歩前進させるきっかけになりましたら幸いです。