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なぜ今インサイドセールスが必要なのか? その鍵となる顧客とビジネスモデルの変化を解説

2020/12/10 07:00

 今やSaaS企業以外の多業種でも取り入れられるようになったインサイドセールス。セールス部門を担う機能としてインサイドセールスが必要とされるのは、顧客の購買行動や企業のビジネスモデルが変化したからだ、と語るのが茂野明彦さん。いったいどのような変化が生じたのか、茂野さんが解説した著書『インサイドセールス』(翔泳社)の「第2章 なぜ今インサイドセールスが必要なのか」の一部を抜粋して紹介します。

本記事は『インサイドセールス 訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド』の「第2章 なぜ今インサイドセールスが必要なのか」から一部を抜粋。掲載にあたり一部を編集しています。

顧客の購買行動の変化

 突然ですが、皆さんは飲食店を予約するときに検索しますか?

 希望に沿う店舗が見つかって電話する瞬間、そのまま予約する確率は何%ですか?

 おそらく多くの方がそのまま予約をするのではないでしょうか。つまり、買い手と売り手が出会うその瞬間にほぼ成約が決まっているのです。これはBtoCに限った話ではなく、BtoBでも同様の変化が起こっています。次の図をご覧ください。

認知から購入、利活用に至る接点の変化
認知から購入、利活用に至る接点の変化

 上段がこれまでの購買モデルです。法人が課題を解決しようと考えた場合、まず取る行動は“営業に会う”というものでした。比較して下段をご覧ください。ここ数年で大きく変わったのは「最初に検索し、情報収集を繰り返して出会ったときには購買の57%の購買プロセスが完了している」という点です。

 そのような変化もあり、多くの企業がBtoBマーケティングに取り組み、Webサイトの改修やコンテンツ整備、そして顧客に合わせたデジタル広告などを使ったデジタルマーケティングに投資を始めたのです。しかしそれによって、商談機会の獲得に至らないものが増え、結局受注コストが増加するという新たな問題が発生しました

 それは、マーケティング活動で獲得したリードが活用されていないことが要因です。マーケティング部からリードを渡された営業は、まず選別し、温度感の高そうなものにのみアプローチし、残りはそのまま放置してしまいます。また、温度感の高いリードにもすぐにアプローチすることはできません。

 例えば問い合わせが月末に入った場合、営業は今月の売上のために奔走していますのでリードの対応は後回しになります。これではせっかく獲得したリードが台なしです。ですからスペシャリストであるインサイドセールスが必要になったのです

サブスクリプションモデルの台頭によるビジネスモデルの変化

 サブスクリプションモデル(以後、サブスク)とは現代の新しいビジネスモデルの総称で、一言でいえば「継続課金型の購買モデル」です。

 例えば従来のシステム開発では、検討に長期間を要し、いざ決まれば利用者は莫大な初期コストを支払って開発をスタートするといった形態でした。一方でサブスクは利用者が早く、安く始めることが可能で、かつ継続的なアップデートによる新機能の恩恵を受けることが可能なサービス提供形態です。

 サブスクの台頭により、インサイドセールスがより求められるようになりました。理由の1つは営業の負担が増加するためです。サブスクは継続的な機能開発が発生するため営業はその機能に対応していく必要があり、かつそれ自体が商談のチャンスとなるため常に見込み顧客や既存顧客と商談をする必要があります。加えて売り切り型ではないために契約の継続交渉、契約期間中のライセンスの追加契約など、今までよりも複雑かつ膨大な業務に追われることになったのです。

 さらに、これまではシステム導入と言えば情報システム部、といった構図でしたが、サブスク時代になり営業部門、マーケティング部門、人事や総務部門のユーザー自身がサービス検討を始めるようになり、様々な部署から時には同時に問い合わせが発生するようになりました。そのため新規の問い合わせ対応や、新規顧客との商談設定を担うインサイドセールス(SDR、BDR)のニーズが高まったのです。

 また、これまでは数億円のプロジェクトの契約が主でしたのでとてもオンライン商談で完結することはできませんでしたが、サブスクは初期にかかる費用が非常に安価(月払いや年単位での支払いが主流)なため、契約自体をオンライン商談で完結することが可能になりました。これもサブスクの台頭によるインサイドセールスの需要拡大の理由として挙げられます。

 以上の理由からIT企業だけではなく、金融や通信などの様々な業種が売り切り型のビジネスモデルからサブスクモデルへの転換を図ると同時に、インサイドセールスを立ち上げる事例が増えてきています。

生産年齢人口減少による働き方の変化

 2020年現在も生産年齢人口は減少し続けており、それは2065年まで続くと想定されています(出典:平成30年度人口減少をはじめとする経済構造変化の下における中小企業のあり方に関する調査に係る委託事業調査報告書)。

 そのような中で注目されているのが在宅ワーカーです。子育てや介護、その他様々な理由でオフィス勤務はできなくても在宅であれば勤務可能な方を多くの企業が採用し、新たな労働力として雇用が進んでいます。その在宅ワークに最適な職種がインサイドセールスなのです。最低限パソコンとスマートフォンがあれば業務が可能で、過去に営業経験がある方はオフィス勤務のインサイドセールスよりも成果を上げているといった事例も聞くようになりました。

 これまで「地方×子育て」という組み合わせでの就職はかなり難易度が高かったと言えます。しかし在宅業務であれば、子育てと業務の両立が可能になり、企業の所在地は問題になりません。実際に活躍しているベルフェイス社・岡崎氏のインタビューを第2章末に掲載していますのでぜひご覧ください。ライフイベントによって断念したキャリアをインサイドセールスによって乗り越え、それまでと同様、もしくはそれ以上に活躍している素晴らしい実例です。

 また、同様に家族の都合で転勤を余儀なくされた方もインサイドセールスに異動し、そのまま勤務を継続する場合もあります。避けては通れない労働人口の減少に対して優秀な在宅ワーカーを採用し、活躍できる環境を整備することは多くの企業にとって優先度の高い課題であると言えます。また、定年により現役を引退した営業経験者の採用を検討している企業もあります。長年最前線で活躍したその戦略眼や商談の見極めに期待しているのです。

 そして2020年の8月、私はこの書籍を自宅で執筆しています。

 新型コロナウイルスの影響で私のチームも全員が在宅勤務中ですが、一時的に下がった生産性も今は回復し、オフィス勤務の頃と比べても遜色なく成果を出すことができています。そのために必要なのが様々なテクノロジー、つまりSaaSに代表されるクラウド型のアプリケーションです。次の4節で解説しますが、こういったテクノロジーの進化をなくして在宅ワークを実現することはできないのです。

テクノロジーの進化による営業手法の変化

「営業は足で稼ぐ」「売れる営業はセンスが良い」という時代から「テクノロジーを活用した営業」へと進化しており、大手企業やベンチャー企業だけでなく中小企業でもその活用が進んでいます。CRM(Customer Relationship Management)、MA(Marketing Automation)やオンライン商談システムがそれにあたります。

CRMに一元化された情報から対象となるリードを抽出し、MAでメールを送信。メールの開封やURLのクリックなどの反応があった見込み顧客を即座に把握し過去の閲覧履歴を参照しながら電話やメールでアプローチし、オンライン商談システムで商談を行いそのまま受注する。

 こういった一連の営業活動は現在多くの企業で取り入れられています。

CRMとMAの参考イメージ
CRMとMAの参考イメージ

 ほんの20年前には存在しなかった概念であり、日本に普及したのもここ数年です。

 今までは、顧客の情報は営業が管理し、訪問でしかその変化を捉えることができませんでしたが、テクノロジーの進化によってその情報が共有され、購買プロセスが明確になり、分業することが可能になったのです。

 また、電話も進化しています。例えばレブコム社が提供するMiiTelというIP電話はパソコン経由で電話の発着信が行えるだけではなく、通話内容を自動で録音・解析することで最適な会話を示唆してくれるので、顧客対応品質と生産性を向上させることが可能です。

インサイドセールス 訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド

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インサイドセールス
訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド

著者:茂野明彦
発売日:2020年12月9日(水)
価格:1,800円+税

本書について

本書ではセールスフォースとビズリーチでインサイドセールス部隊を作り上げ、外部コンサル支援も行う茂野氏が、インサイドセールスチームで営業の成果を伸ばす方法を教えます。

 

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