科学されてこなかった営業
経営やマーケティングは古くから学問として積極的な研究が進められているが、果たして営業はどうか。マーケティングも営業も、インターネットの普及やテクノロジーの発達によって進化しているはずだが、今もなお属人的かつアナログなやり方で業務が進められている営業の現場は少なくない。
ソフトブレーンは、東証一部上場企業の中で唯一「営業イノベーション事業」を展開している。まさに営業を科学し、再現性の高い「型」をつくることが彼らのメインミッションだ。具体的には営業コンサルティングやトレーニングのほか、東京大学と手を組み営業の共同研究も行っている。ベンチャーから大手まで、業界を問わず7,000社以上のユーザーと取り組んだ実績をもとに、同社の取締役を務める長田氏が営業の生産性を向上させるためのノウハウを紹介した。
世界経済フォーラムが発表しているデータによると、日本は対象となる139ヵ国中「新しいIT技術の採用」の項目において2位にランクインしている一方、労働生産性を調査した別のデータでは主要先進7ヵ国中最下位という結果に終わっている。つまり、日本はITを活用しているのに生産性が上がらない国であるという現状がふたつのデータから読みとれる。加えて、少子高齢化により労働人口は下がり続けており、ひとりあたりの生産性がこれまで以上に向上を求められることとなる。
ではなぜ、IT化の進度に反して生産性が上がらないのか。長田氏は、考えられる要因を3つ挙げた。