政策コンサルティング会社のAccess Partnership(アクセス・パートナーシップ)は、Workdayの委託により作成された調査レポート「Bridging the AI Gap: Advancing Adoption and Governance in Japan(AIギャップの解消:日本における導入とガバナンスの促進)」を発表した。
背景
日本は人工知能(AI)を経済回復力と社会福祉の推進力と位置づけており、2030年までに49.9兆円(3,310億米ドル)の市場機会が見込まれている。しかし、日本企業のAI導入はそのような期待に追いついていない状況である。
本調査レポートでは、AIに関する認識は広がっており、93%の企業がAIについて少なくとも一般的な理解を備えていると回答しているものの、ほとんどの企業は導入の初期段階であることが明らかになった。また、約半数の企業が依然としてAIソリューションの試験運用(19%)または部分導入(26%)段階であり、本格的な導入を達成しているのはわずか8%にとどまっている。
一方、AIを先行して導入した企業はすでに、効率性の向上、時間の短縮、コスト削減といったメリットを回答している。
調査結果

- 中小企業での認識の遅れ:大企業では74%がAIのメリットを強く認識している一方で中小企業では33%にとどまる。
- 準備態勢にばらつき:技術的な準備態勢(49%)が組織的な準備態勢(42%)を上回っており、企業文化や変更管理における難しさを反映している。
- 信頼性の向上が必要:透明性対策や定期的なリスク評価など、責任あるAI実践を3項目以上導入している企業はわずか35%にとどまる。
企業が求めていること
今回の調査では、企業の導入加速に必要な要素も明らかになった。企業からの主な要望は次のとおり。
- ガバナンスのフレームワークを実用化するための監視ツール(46%)とコンプライアンス基準(44%)
- 企業レベルでAIポリシーを導入するための専門家のガイダンス(45%)
- 研修と教育:50%が従業員のスキルアップを求めており、47%がガバナンスと倫理に重点を置いたプログラムを求めている。
Access Partnership クライアントサービスディレクター Abhineet Kaul(アビニート・カウル)氏のコメント
日本企業はAIの可能性を認識しています。適切なサポートがあればAI導入が期待でき、経済力の強化、競争力の向上、そして社会への具体的な利益創出に結びつくでしょう。
ワークデイ APJ 担当コーポレート アフェアーズ部門ディレクター Eunice Lim(ユーニス・リム)氏のコメント
日本がエンタープライズAIの導入を加速する中、組織が信頼を築き、責任あるイノベーションを確保し、AIの可能性を最大限に引き出して、持続可能な成長を推進するには、強力なAIガバナンスの取り組みが重要な基盤になると考えています。