「集合知」でプランを磨き、若手メンバーの成長を加速
──思考をそろえたうえで、次が「認識」ですね。
桐原 はい。そのための施策が「アカウントプランレビュー」です。アカウントプランは、AMという「司令塔」のもと、社内の各関係者が適切に顧客と向き合うための「地図」のようなもの。そのため、社内の認識が一致していることを前提として作成しなければなりません。
しかし、AM1人でアカウントプランを作成すると、どうしても「自分が進めやすい、リスクの少ないシナリオ」というバイアスが反映されてしまいます。これを防ぐために一定のタイミングでレビューを行い、他部署も含めた集合知でアカウントプランを磨いていくのです。
──部署間の密接な連携のもと、レビューが行われるのですね。
桐原 当初はAMとカスタマーサクセスで行っていましたが、その後、インサイドセールスやプロダクト担当のセールス、顧客ごとにデモ環境の構築などを担うソリューションエンジニア、コンサルタントと参加者が増えていきました。それぞれの専門性に基づく情報をAMが集約し、最後の決断を行っています。
また、レビューはアカウントプランの質の向上に貢献するだけでなく、若手メンバーの育成にもつながっています。アカウントプランの作成は難易度が高い業務ですが、あえて若手メンバーに任せ、レビューを通してマネージャーや関連部門が多角的な視点から支援する。こうすることで、若手メンバーが次のアクションに迷わなくなり、主体的に顧客と向き合って意思決定を行うことができます。この経験の蓄積こそが、若手メンバーの成長を何よりも加速させるのです。
村瀬 加えて、BDRにとってレビューは「営業の疑似体験」の場です。AMが何を考え、なぜこのアクションを選ぶのか。その脳内をのぞき見することで受注までの最短距離を自分事化し、営業的な感覚を最前線で養うことができます。インサイドセールスの役割にとらわれず、全体像を俯瞰したり、自身のキャリアプランを検討したりするきっかけにもなります。
株式会社ナレッジワーク エンタープライズBDR・エグゼクティブリレーション エキスパート 村瀬 章氏
外資系企業2社で約8年にわたりエンタープライズ営業に従事した後、SAPジャパン株式会社に入社。大手製造業を担当。 2020年、株式会社パーソルイノベーションに参画。Board member兼Enterprise事業部インサイドセールス責任者として部門をゼロから立ち上げ、その後、スタートアップにてマーケティングおよびインサイドセールス部長を歴任。 2023年、株式会社ナレッジワークに入社。
──AIを活用してアカウントプランを作成する組織も増えています。ナレッジワークではいかがでしょうか。
桐原 アカウントプランの作成後は「絵にかいた餅」にならないよう、顧客へ実際に提案してフィードバックをもらい、精度を高めていく必要があります。その壁打ち役としてAIを活用することも考えられますが、企業独自の力学やクローズな情報は人しか知り得ません。最終的には、やはり顧客に直接提案することでより精度が高まると感じています。
一方で、ドラフト作成や、提案のロープレにAIを活用するのは良いかもしれません。ナレッジワーク独自の「型」や過去の成功事例、このあと紹介する「ハンドブック」を学習させ、提案のフィードバックを受けるのではなく練習相手とすることで、より万全の状態で顧客との商談に臨むことができるでしょう。
