CROが向き合うべき“シンプル”な問い
茂野(ビズリーチ) 全社で一次情報やコンテキストを共有し、共通のテーマを掲げて活動する。そうした組織は昔から強いですよね。
増岡(HubSpot) 一方で、多くの企業では各部門が独立しているため、組織規模が大きくなればなるほど、目線をそろえるのが難しくなるのではないかという懸念もありますね。
千葉(EY) 本来、全社で共有すべきは「誰の、どんな課題を、どう解決したいのか」というシンプルなもの。しかし、ほとんどの企業で、これを語ることができる人がいないのが現状です。
今井(セレブリックス) セレブリックスの場合、CMOである私が営業とマーケティングの両方を管轄することで、目線を合わせています。「マーケティングの中に営業があるべき」と考えているので、CMOが営業をすることに違和感はありませんが、一般的には「CRO(Chief Revenue Officer)」が担う役割なのでしょうか。
株式会社セレブリックス 取締役 執行役員 CMO
市場開発本部 本部長 兼 セレブリックス営業総合研究所 所長 今井 晶也氏
セレブリックス営業総合研究所の所長兼セールスエバンジェリストとして、法人営業・購買・AI営業の最前線で研究や情報発信を行う。著書に『Sales is 科学的に「成果をコントロールする」営業術』、『お客様が教えてくれた「されたい」営業』、『The Intelligent Sales~AIを活用した最速・最良でクリエイティブな営業プロセス~』などがあり、累計発行部数は10万部を突破。現在は取締役 執行役員CMOとしてマーケティング戦略や新規事業開発を牽引。営業プラットフォーム『YEALE』、『Japan Sales Collection』の監修や、Everything DiSC®認定トレーナーとしても幅広く活動している。
千葉(EY) 肩書は何でも構わないと思います。今井さんのようにCMOが担っても良いですし、現状の組織体制で適切なポジションがないのであれば、新たにCROを設けるのもひとつの手ですね。
増岡(HubSpot) CROは「収益(Revenue)の責任者」ととらえられがちですが、本来は「顧客にどう向き合うか」を考える責任者であるべきですよね。
マネージャーを「Full AI」で再定義すべき年に
茂野(ビズリーチ) 加えて、従来のピラミッド型組織ではなく、意思決定者を最小限に絞るマネジメントスタイルへ変えるのも、分断を防ぐために有効かもしれません。少数精鋭のマネージャーたちでテーマを共有することで、情報の分断が起こりづらくなります。
この体制では、組織が大きくなるにつれて、ファーストライン・セカンドラインが管轄できる範囲も20人、30人と拡大していかなればなりません。そうした点からも、やはりマネージャーこそ、思考から実行まであらゆるプロセスにAIを介在させる「Full AI」で取り組まなければいけません。
株式会社ビズリーチ 新規事業責任者 茂野 明彦氏
2012年、株式会社セールスフォース・ドットコム(現:株式会社セールスフォース・ジャパン)に⼊社し、グローバルで初のインサイドセールス企画トレーニング部⾨を⽴ち上げる。2016年、株式会社ビズリーチ⼊社。インサイドセールス部⾨の⽴ち上げのほか、ビジネスマーケティング部部⻑、HRMOS事業のインサイドセールス部部長を歴任。現在は、新規事業案の責任者として、プロジェクトを推進。著書に『インサイドセールス 訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド』(翔泳社)
今井(セレブリックス) 一方で、77%のマネージャーがAIの導入によって「かえって仕事が増えた」と感じているというデータ(※)もあります。AIに合わせた要件定義やメンバー管理の負荷が増えている。
茂野(ビズリーチ) 新しいものを導入する時は、マネジメントの仕事は必ず増えるんですよね。だからこそ、既存のミドルマネジメントの役割を再定義したうえで、それを起点にAI活用を進める必要があります。
そもそもマネジメントの役割を明確に定義している企業自体が少ないですから、まずはその「期待役割」の定義から始めるべきです。2026年、マネジメントの再編は避けて通れない課題になるでしょう。
※参考:Upwork Research Institute “The AI Disconnect”(2024年7月)
──2026年のAI活用は、効率化の議論に留まらず、営業の「センス」やマネジメントの在り方を問い直す段階へと進んでいきます。その中で本稿は、大変革の1年を乗り越え、勝ち続ける営業組織を再構築するためのバイブルになるでしょう。今回はありがとうございました!
