“パートナーが売りやすい仕組み”が成功の鍵 「パートナーマーケティング」という成長戦略
これらの課題に対し、磐崎氏は「パートナーに案件をいただけないことが問題なのではなく、パートナーが売れる仕組みがないこと、その構造に問題がある」と本質的な問題を指摘した。そして、「パートナーが売りたくなる・売りやすい状態をつくることが鍵であり、“パートナーマーケティング”の核心である」と強調した。

パートナーから見たとき、受注に対して手数料が発生する従来のモデルは、成果までが遠く見える。そのため、インセンティブ(動機づけ)が乏しい状態だった。インセンティブがないパートナーにも売ってもらうために、メーカー側は勉強会の開催や頻繁な訪問、飲み会などを通じて関係性を構築し、なんとか売ってもらっていた。
これに対しパートナーマーケティングは、「パートナーが売りやすい仕組み」をつくることで、成果までのプロセスを短縮し、結果が出る前に動機づけを行う新しいアプローチだ。
具体的には、商材理解、リスト共有、商談実施の各フェーズで「可視化と支援の仕組み」と「動機づけ」を提供することが重要だという。
たとえば、「商材をより効率的に理解できる環境をつくる」「ターゲットリストをお互いに認識し合いやすい共有ができる仕組みをつくる」「実際の商談管理も一緒に行っていくことで、受注率を高め、リードタイムを短くしていく」といった施策により、会社を超えてひとつの営業組織のように動いていける環境づくりを目指すのだ。

実践事例として、HR系SaaSを提供するPeopleX社の取り組みが紹介された。同社は、パートナーを「Platinum」「Gold」「Silver」のランクに分け、上位ランクほど手数料率が上がる設計にしている。
特筆すべきは、最初のランクアップ条件として、営業実績ではなく「プロダクトに関するトレーニングの受講完了」を設定している点だ。
「販売の実績問わず、受講するだけでランクが上がるので、売れたときの手数料が上がる設計です。これは行動指標なので、パートナー側の営業責任者の方も、とりあえず受けておこうという展開をしやすくなるんです」(磐崎氏)

このトレーニングには、どのような企業がターゲットとしてふさわしいか、どのような営業トークをすれば良いのかといった内容も含まれており、販売スキルの習得と案件創出につながりやすくする効果があるという。さらに、案件共有の仕組みをつくり、既存顧客やほかのパートナーとのバッティングを防ぐリスト重複制御なども実装している。
パートナーマーケティングを実践するための全体像として、磐崎氏は4つのステップから成る「包括的な支援の仕組み」を提示した。
「STEP 1:代理店開拓・管理」として、適切なパートナー選定や初期支援、契約・商品管理など。「STEP 2:代理店の育成」として、資料共有、eラーニング、通知、権限管理などを通じた育成。「STEP 3:代理店の商談管理」として、案件共有、リスト重複制御、CRM連携、チャットなどを活用した商談支援。「STEP4:可視化・最適化」として、売上・手数料管理、個人単位分析、ワークフロー、ランク制度などによる活動の可視化と改善だ。

これらの仕組み構築には、PRM(パートナーリレーションシップマネジメント)ツールが有効だという。磐崎氏は「PRMは、直販におけるCRMが顧客を管理するのと同様に、販売パートナーや紹介パートナーなど多様なパートナーの管理、連携、支援の仕組みを構築するためのツール」と説明する。
パートナープロップが提供する「PartnerProp」は、「動機づけ」「可視化」「フォローアップ」の仕組み構築を可能にするPRMツールとして、大手企業からスタートアップまで多くの企業に活用されているという。
磐崎氏は最後に「パートナーマーケティングは、営業組織における成長戦略のコアになります。そのパートナーマーケティングを実現する仕組みとして『PartnerProp』が存在します。気になる方はぜひお問い合わせください」と講演を締めくくった。

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※1 出典:厚生労働省「職業安定業務統計 一般職業紹介状況(令和6年4月分)」
※2 出典:Mer「営業組織の急成長期における課題に関する実態調査」(2024年12月発表)
※3 出典:電通「2024年 日本の広告費」(2025年2月発表)
※4 出典:IDEATECH 2025「BtoBマーケティングの施策別CPA実態調査」(2025年4月発表)
※5 出典:中小企業庁「中小企業の身の丈に応じたITツールの普及促進について」(令和元年)