きっかけは、デジタルシフトに伴う売り物の多様化
──まずは、おふたりの現在の業務と社内でのお立場について教えてください。
佐藤 メディアビジネス部の部長として、メディアビジネス(広告)をマネジメントしています。この「メディアビジネス支援システム」のプロジェクトには、営業の責任者として参加しました。
小山 私はIT戦略企画室のシステム部で社内向けシステムのプロジェクトマネージャーを担当しています。システム部では今回のメディアビジネス支援システムの他にも、会計や経費精算のシステムも同部署で開発しています。加えて、社内のイントラネットの構築や、膨大な数になる品目や寄稿家の方々の情報をデータベース化することなども請け負っています。
──なぜ「メディアビジネス支援システム」を開発するプロジェクトが立ち上がったのでしょうか。背景をお聞かせください。
佐藤 広告媒体の主流が紙からウェブへ移行していく中で、当社でもSNSを含めたウェブ広告の受注が急増していました。実際、プロジェクトを開始した2021年時点でも50%を占めていたデジタル広告の売上は、2024年現在72%までに増えています。
加えて、契約内容も多岐にわたるようになってきました。広告の取引だけでなく、オウンドメディアの制作受託やコンサルティングに近い内容の契約も多くなっていたのです。
しかし、既存の売上計上システムには広告の取引しか計上できなかった。そのため、こうした新しい多様な売上を計上できず、メディアビジネス部門全体で何をいくら売り上げているのか、実態がつかめない状態が大きな課題でした。
佐藤 既存のシステムだけを見ると、メディアビジネス部門の売上は広告中心で、そのほかの種別は他部門の売上だととらえられるかもしれません。この誤認は、間違った人材の配置や経営判断にもつながりかねないため、マネージャー陣を中心に新しいシステムの必要性を感じていました。
また、企業の経理財務の透明化が求められる中で、正確な売上の把握は経営の視点からも対応が必要でした。
小山 既存システムが古くなっていることも課題でした。OSが古く、対応しているブラウザも限られて、アプリには対応していなかった。システム自体がビジネス拡大の足かせになってしまわないために、拡張性のあるシステムを開発しようと、このプロジェクトが始まったのです。